タイ野菜でべジフルライフ

第43回 カボチャ

カボチャ(南瓜)
Pumpkin/Squash
ฟักทอง(ファクトーン)

雨季も後半、空が気になる毎日ですが、季節の変わり目ということで市場にならぶ野菜や果物にも変化がでてきました。この時期に私が気になるのは、ギンジェー(齋食)です。毎年旧暦9月1日から9日まで行われ、通常、ベジタリアンウィークとか菜食週間と訳され、町中に「齋」と書かれた黄色い旗が立てられます。

 

起源にはいろいろな説があるのですが、プーケットにやってきた福建省の錫鉱山労働者から広まったと言われています。そのため中国の思想や精進料理の影響が強く、卵・乳製品を含む動物質が一切ダメで、五葷と呼ばれるネギやニンニクなどのニオイのきつい野菜も食べてはいけないことになっています。パクチーはダメでショウガやトウガラシはOKなので、精がつくものがダメということかもしれません。厳格なギンジェーは、「身を清めて白い服を着る」「性的行為をしない」「アルコールを摂取しない」などの決まりごとがあります。「嘘をつかない」「殺生や盗みをしない」なんていうのもあります。最近は、信仰とは別に健康のためとかちょっとした願掛けのために軽いベジタリアンを実行している人も増えています。ただ、齋食が体にいいかどうかとなると話は別で、肉への飢餓感を満足させるためか、料理に制限があるせいなのか、揚げ物でベトベトな料理が出回るので要注意です。みなさんも1年に9日間だけ、この機に乗じて実践してみるのはいかがですか?体が清められるという感覚を体で感じられるのではないかと思います。今年は、10月15日からとのことです。

 

さて、今月はそんなギンジェーにはピッタリの食材、またハロウィンや冬至などこれからの季節に欠かせないカボチャを紹介します。

 

アメリカ大陸原産のウリ科の野菜で、日本には15世紀にポルトガル人によって「カンボジアの瓜」として紹介され「カボチャ」という名前がつきました。最初に伝わったのは、日本カボチャという大きくて皮がゴツゴツした品種で、水分が多くねっとりとして日本料理によく合うものでした。19世紀になってホクホクと甘味の強い小ぶりな西洋カボチャ(栗カボチャ)が導入され、食の変化と栽培や流通の容易さから、今ではすっかり市場を占めています。日本で改良された西洋種が世界に伝わって日本カボチャと呼ばれるという紛らわしい状態にもなっています。タイで多く出回っているのは本来の日本種と同じもので、ゲーンリアンなどのスープや卵との炒め物、カスタードクリームなどお菓子にもよく利用されています。

 

最近は、タイのスーパーでもカットして売られていますが、タラート(市場)では、半分にしてとか300g欲しいというわがままも聞いてくれます。選ぶ時には、ヘタが枯れて周りがくぼんでいるものがいいようです。一部色が薄いのは土と接していた部分で、そこのオレンジが濃いほど甘いと言われます。固くて切るのがコワイという方は、そのまま電子レンジで加熱してから切るといいでしょう。保存は、15度前後の比較的乾燥した場所であれば、何ヶ月も保存できます。カットしたら種とワタの部分を取り除いて、ラップをして冷蔵庫に保管してください。

 

カボチャは、βカロテンが特に豊富で、またビタミンCやEは加熱しても壊れにくく、一度に食べる量も多いので、風邪の予防に冬至に食べるという古来からの習慣は理にかなっているといえます。タイでも乾季には風邪やインフルエンザが流行りますから、今からしっかりカボチャを食べて予防してください。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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