コラム タイ野菜でべジフルライフ 第5回 緑豆(トゥア・キヤオ)
第5回 緑豆(トゥア・キヤオ)
緑豆
MUNG BEAN
ถ่ัวเขีย(วトゥア・キヤオ)
豆が野菜かどうかはさておいて、日常的な野菜のように気軽にたっぷり食べていただきたい食材ということで紹介します。大豆を筆頭に、豆全般にたんぱく質や食物繊維、鉄、マグネシウム、カリウム、葉酸、亜鉛、様々なファイトケミカル(植物栄養素)が含まれています。栄養満点の豆ですが、納豆や豆腐などの大豆の加工食品以外は、食卓にのぼることがないというご家庭が多いようで、なんとも残念です。
豆を甘く調理するのはアジアの特徴で、その他の地域では、サラダやスープ、カレーやペーストにしたりして、さまざまな料理にふんだんに使っています。タイの豆売場を眺めてみますと、結構な充実ぶりにうれしくなりますよ。インドが近いおかげもあるのでしょうね。
様々な豆の中でも初心者にもおすすめなのは、「緑豆(りょくとう)」です。緑豆は、春雨やモヤシ、お菓子(ルークチュップなど)の原料になっていて、見えないところで大活躍している豆です。大ヒットの韓国ドラマ「チャングムの誓い」の中でも何度も登場しました。毒を盛られた人や原因不明の病気の人に解毒・解熱剤として緑豆の汁を飲ませていました。実際に緑豆は、中国で漢方薬として利用されてきました。タイでは、この乾燥豆が安く手に入ります。緑の皮を取り除いた調理しやすい黄色い粒状態でも売っています。日本も昔はあったのですが、今は滅多にみかけません。だからタイにいる特権として大いに利用しましょう。
インド原産。小粒で地味なその姿からは想像もつかないパワーを秘めています。解毒・解熱作用に優れ、利尿効果が高いので、高血圧の方やむくみが気になる方には特におすすめ、他にも美肌効果(特にニキビやソバカス)、疲労回復、滋養強壮、夏バテ防止、貧血・便秘の改善、ダイエットやメタボ対策にもなります。発芽させるとビタミンCが増えますので、さらなる美容効果が期待でき、風邪の予防にもなります。
小豆と同じように利用でき、甘く煮てデザートにするだけでなく、炊き込みご飯や混ぜご飯にしてもおいしいです。また、カレーやスープなど幅広く利用できます。他の豆と違い、水につけなくても手軽に料理できますが、半日つけて発芽させるだけでより栄養価が高くなります。イチオシ料理は、塩茹でです。豆嫌いの人も子供たちも、モクモクと食べてくれます。発芽させたものは塩入りの熱湯に入れて3分で茹であがり、なんともいえない甘みがあります。アツアツにさっと塩をふってなじませ、一口頬張ったらもう最後、やめられない、とまらない♪
発芽は、暑いタイなら倍の量の水に半日つけておくだけです。さらに育てればモヤシになります。真っ直ぐなモヤシがいいなら光に当てずに育てますが、発芽のパワーをいただくだけなら、部屋の中に2~3日置いておくだけで十分です。受け皿のあるザルを使うと水の交換も簡単にできます。炒め物やナムル、サラダなど、抗がん作用があると注目のスプラウトですからたっぷりお召し上がりください。ただ、きれいな包装の豆でも石が入っていたり、虫食いの豆が混じっていたり、茹でても柔らかくならない皺が寄ったものがありますので、利用前に選り分けてください。
青澤直子
健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road