コラム タイ野菜でべジフルライフ 第34回 タロイモ(プアック)
第34回 タロイモ(プアック)
タロイモ
Taro
เผือก(プアック)
タイの野菜を楽しみましょうとは言うものの、手ごわい野菜もいっぱいですね。私にとって大きな挫折は、タロイモでした。どうもおいしく料理できないのです。ある時、タロイモチップスをオーブンで作ろうとして、出来具合をチェックしようとパックっと食べたら舌がパニック!半生で毒かと思うような痺れがあって怖くなりました。以来、タロイモには完敗ということで手をだしませんでした。それにしても、人に「1度や2度料理しておいしくないからと決めつけないで!」とエラソーに言っている立場上、やはり敗者復活戦に臨むべきだと決心。わざわざ健幸料理教室のテーマにもってきて、タロイモで前菜からデザートまで作るという荒業、まさに背水の陣でのぞみました。とも和え、すりおろし団子のお吸い物、混ぜご飯、饅頭、羊羹を作って、辛くも判定勝ちをいただいたかなという感じです。他にもまだ負けっぱなしの野菜もいっぱい、対面だけして不戦敗の野菜もあれば、挑戦権すら得ていないものもあります。
ナンテ、これではまるで格闘技で色気も何もありませんが、どの野菜に対しても完全勝利なんていうのはないような気がします。でもだからこそ立ち向かうファイトがわいて、自分も成長できる気がします。そしてヒーロー物語によくあるように、勝っても負けてもきっとアツイ友情が芽生えるでしょう。タロイモと仲良くつきあうようになり、隠された過去を知って、今では尊敬さえしております。新しい年には、みなさんも多くの野菜にどんどんチャレンジしてください!
約1万年前にタイ西北部で野生のタロイモを掘り出したところ、しばらくしてまたイモが育っていることに気がきました。掘り出した時にイモの根や小イモが落ちたからで、そのことに気がついたのが人類の農耕の始まりだとも言われています(農耕起源説は他にもあります)。日本のサトイモもタロイモの一種で、稲より前に伝わっています。低カロリーで、糖分をエネルギーに変える働きのあるビタミンB1を含み、食物繊維、カリウムも豊富です。加熱するとデンプン質が糊化しやすく消化吸収がよくなるので、栄養価の高いベビーフードとして理想的で、さらに食物アレルギーを起こす心配がほとんどない優れた炭水化物食品と言われています。タロイモを主食とする国や地域もたくさんあります。
なるべく泥つきの皮がしっとりしたもの、濃い茶色で傷みのないもの、横縞がくっきりしたものを選ぶといいでしょう。古くなって中が変色しても外から見分けづらいのですが、茎の鮮度をチェックしてみてください。
あっさりした上品な味で、他のイモや根菜料理を応用するといいでしょう。ただし、生では、苦味の原因でもあるシュウ酸が皮膚や舌を刺激し、消化されないデンプンが含まれているので必ずしっかり加熱してください。皮を剥いても変色しませんが、粘質物が出るので水につけておくといいです。塩を加えて茹でると型崩れしにくくなります。寒さと乾燥に弱いので、冷蔵庫に入れるとかえって傷みが早くなります。泥つきは、新聞紙などに包んで冷暗所で保存、洗ったものは、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室に、皮を剥いて残った場合は、かために茹でて冷水で急激に冷やしてから水気をふいて、ラップに包んで冷凍保存するといいでしょう。
青澤直子
健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road