タイ野菜でべジフルライフ

第31回 ハミウリ

ハミウリ(哈密瓜)
Hami Melon
แตงฮามิกัว (テーン・ハミグア)

タイには、いろいろな果物が並んでいますが、おいしい果物の見分け方って難しいですね。見分け方を知っていても、スーパーにきれいに並んでいると、つい油断して選ばずに買ってしまうことがあります。以前、家でパーティーを開く時に、日本産だという網模様のあるマスクメロンを奮発 して買いました。ところが、家に帰って割ったらキャーッ!包丁を入れた途端に異様なニオイがして、ぐしゃっと崩れてしまったのです。腐り加減にも程があるという涙ものの状態でしたが、表面からはわかりませんでした。ひょっとしたらどこか傷があったのかもしれません。友人は、スーパーで取り換えてもらうべきだと言いましたが、グシャグシャの臭い残骸を持ち歩く気にもなれず、教訓としてあきらめました。

 

ちなみにメロンには多くの品種があっていろんな分類の仕方がありますが、日本人が「マスクメロン」と呼んでいるのは、一般にアールスフェボリットという品種をさします。マスクは、仮面ではなく「MUSK(じゃ香)」の香りから来ています。メロンがキライな人の中には、この香りがダメ という方もいるようです。

 

タイでは、カンタループ種がポピュラーでしたが、最近は、いろんな品種が出回っています。今月は、そんな中から「ハ ミウリ」をお届けします。実は中国産なので、このコラムで紹介するのもどうかと思いましたが、日本ではまだ入手しづらいので、ぜひタイでしっかり味わっていただきたいのです。日本では、知る人ぞ知る世界一おいしいメロンとか幻のメロンと言われています。

 

中国新疆ウイグル自治区哈密(ハミ)地区の特産ですが、タイではなぜか「แตงทิเบต(テーン・チベット)」の名で出回っていることが多いようです。ラグビーボールのような形で、表皮は黄色で網模様がみられ、果肉は薄いオレンジ色です。ハミウリの特徴は、なんといっても歯ごたえです。甘くて瑞々しいうえに、さわやかでシャキッとしているのです。メロンがキライな人でも喜んで食べていました。

 

メロンは全般にカリウムとカロテン、ビタミンCが豊富で低カロリーです。産地であるウイグルは、中国の中でも特に暑くて寒くて乾燥して強風という過酷な土地です。そんな土地でたくましく育つためか、他のメロンよりも栄養価が高いようです。昔からシルクロードを行き交う隊商の大事なビタミンや水分の補給源でした。

 

ずっしりと重みがあるのを選ぶといいですが、比較的当たり外れが少ないようです。メロン全般に言えますが、冷やしすぎると甘味を感じづらく味も落ちますので、常温保存にして、食べる2~3時間前に冷やしてください。ウィンターメロンに分類されますので常温で長く保存できます。大きいので買うのをためらいそうですが、種をとって冷凍保存するといいです。それをジュースにしたりシャーベット感覚で食べてもいいでしょう。最近は、カット売りも目にしますので、食べきる自信がなければそちらを探してみてください。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

関連記事...

バックナンバー情報..