コラム タイ野菜でべジフルライフ 第13回 マヨンチット(プラムマンゴー)

タイ野菜でべジフルライフ

第13回 マヨンチット(プラムマンゴー)

プラムマンゴー
Plum Mango/Marian plum
มะยงชิด (マヨンチット)

暑中お見舞い申し上げます~♪やってきました、タイの夏。外に出ると「茹でダコというより焼き豚よね」なんて自虐的になりそうな日差しでクラクラしちゃいますね。でも、世の中うまくできてるもので、ちゃんと楽しみもやってきます。タイは、暑季から雨季のはじめにかけて多くの果物が最もおいしくなる季節です。人間は暑さでバテバテなのに果物が元気でおいしいなんて、まさに天からの恵みですね。暑さ対策に精をつけようと焼き肉を食べるより、果物をたくさん食べる方が自然の理にもかなって体が喜びますよ!

 

果物は、ビタミンをはじめ、ミネラル、食物繊維が豊富で健康維持には欠かせません。よく「甘いから太る」「糖尿病になる」と避けられますが、これは誤解です。果物は大部分が水分で脂質が少ないので、エネルギー量は100gあたり50kcal程度です(ドリアンなど例外あり)。ちなみにアイスクリームは200kcal、ショートケーキは350kcalくらいです。また、果物の果糖は血糖値があがりにくく、食物繊維は血糖値の急上昇を抑制するので、糖尿病患者にもおすすめの食材なのです。ただし、デザートとしてではなく、空腹時や食前に食べるか、食事に組み込むのがいいでしょう。また、冷やし過ぎると甘みを感じにくくなりますので、常温で食べてください。

 

健康のためには、1日200グラム以上(可食部)をめざしましょう。外食などで野菜を食べられない日でも、果物なら手軽に食べられますね。ミカンやキウイ1個、バナナ1本が100gの目安です。果物の1日あたりの摂取量は、世界の平均が170g、タイ人は236gです。オランダやギリシャなどは500g近く食べています。では、日本人は?答えは148gで、先進国の中では最低の水準にあります。日本人は、果物を単なる嗜好品と見る傾向があり、最近は、お菓子の方が安いからと果物の消費が減っていて、果物価格が上昇するというなんとも皮肉な状況に陥っています。タイにいる私たちは、せめてタイ人並に果物を食べたいものですね。

 

今月は、タイの果物の中でも日本人に馴染みのないマヨンチットを紹介します。タイで果物として商用に広く栽培されるようになって歴史が浅いのです。先日、タラートでマヨンチットを買おうとしたら、店のおばちゃんが日本語で「ビワ、ビワ」と話しかけてきました。たしかに色も形も見た目はビワにそっくりなんですが、全く別物です。誰かが食べもしないで教えちゃったんでしょう。果物は、眺めていても楽しいものですが、やはり食べてみなくちゃわからない、食べてこそ価値のあるものと言えますね。

 

東南アジア原産。マンゴーと同じウルシ科ですので、マンゴーがダメな方はお気をつけください。マンゴーのように大きな種が真ん中にあります。実の量に比べると大き過ぎるくらいで、せっかくおいしい実なのでちょっと不満に思うほどです。皮は硬いので剥いて食べます。よく似た果物にマプラーンがありますが、マヨンチットはその一種で甘味が強くかすかな酸味でマンゴーと柿と桃を混ぜ合わせたような味がします。ナコンナヨックが産地として有名で、この時期マヨンチット祭りが開催されます。栄養価は、果物の中では鉄分が多く、ビタミンCや食物繊維も豊富です。マヨンチットに限らず、せっかくの果物シーズンですから、食べたことのない果物にはどんどん挑戦して、楽しみながら猛暑をのりきりましょう!

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

関連記事...

バックナンバー情報..