コラム お金の知識を高めるコラム Vol.67 リセッションかソフトランディングか?見方が分かれる米国経済見通し

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Vol.67 リセッションかソフトランディングか?見方が分かれる米国経済見通し

2023年に入って、株価や暗号通貨などリスク資産価格は上昇に転じ、堅調に推移しています。金融市場では、米国経済は減速しつつあり、今後、米FRBは腹積もりほど政策金利を引き上げられず、しかも今年半ばまでに利上げは完了し、その後は景気停滞が明確となって、金利が低下するシナリオに沿って相場観が形成されています。金利が限界的にしか上がらないとのシナリオはリスクテイクへの意欲を掻き立てやすいものです。

2月1日、連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を0.25%幅で引き上げ、4.50-4.75%とすることを決定しました。インフレ率の伸び率は依然として高く、インフレとの戦いは時間のかかる長いものになるでしょう。しかし、市場はパウエルFRB議長がFOMC後の記者会見で述べた、「金利を引き上げてきた効果が現れ、インフレ抑制につながりつつある」とのコメントに飛びつきました。

この結果、米ドル金利は低下し、昨年10月以来の水準を付けました。利上げを実施したにもかかわらず、金利は低下してしまったのです。インフレとの戦いは、確かに一部で進展がみられる部分もあります。しかし、米FRBがまだ2回程度の利上げを示唆する中、金利低下を期待し続けることには無理があります。

経済統計は、米国経済が堅調に推移していることを示しています。2022年第4四半期の米国経済成長率は、前期比年率2.9%増と予想を上回る伸びでした。第3四半期は同3.2%増だったのでほぼ変わらないと言えます。1月の米国雇用統計でも、非農業部門雇用者数は前月比51.7万人増加しました。失業率も3.4%に改善し、1969年5月以来の低水準を記録しました。昨年、米FRBはインフレ高進を抑制するため、積極的に利上げを実施しました。政策金利を4.50%も上昇させたのです。このため、経済成長にはブレーキが掛かると言われてきましたが、米国経済は景気後退というよりは、底堅く推移していることが確認されました。

こうした環境の下では、FRBが金融政策を転換し、緩和姿勢に転換する時期は、市場が予想するほど早くなることは難しいでしょう。むしろソフトランディング(軟着陸)するシナリオに置き換えて、過度なリスクテイクには慎重なスタンスを保つべきではないかと考えます。

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    長谷川 建一

    国際投資ストラテジスト

    シティバンクグループ日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004 年末に、東京三菱銀行(現三菱UFJ 銀行)に移籍し、リテール部門でマーケティング責任者、2009 年からは国際部門に移りアジアでのウエルスマネージメント事業戦略を率い2010 年には香港で同事業を立ち上げた。その後、2015 年香港でNippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank を創業。2020 年には、Wells Japan Holdingsに参画し、新たな金融サービスの開発に取り組んでいる。世界の投資商品や投資戦略、アジア事情に精通。わかりやすい解説には定評がある。香港をはじめ、日本やアジア各地での講演も多数。京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)

    著書
    ブログ: HASEKEN
    寄稿中

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