バンコクとあやさんと私

第96回 仕事

皆さんは仕事について考えたことがありますか? 仕事を選べる、という環境にある事はとても幸せな事だと思います。一方、あやさんの多くは仕事を選べない環境にあります。

 

バンコクとアヤさんと私 現在、あやさんは中高年齢の方がほとんどです。彼女達の多くはイサーン(東北)地方の農家出身です。昔も今も、相変わらず農家は収入が安定しません。また、学校が家の近所にない環境も多く、あやさんの多くは学校に通わず、小学生くらいから家の仕事の手伝いをし、家計を支えてきました。タイも他国同様、学歴社会なので、学校に行けなければ就ける仕事も限られてきます。あやさん達の人生はまさに苦労の連続。そんな自らの経験から、自分の子どもは学校に行かせ、高学歴になって欲しいという気持ちが人一倍強いと思います。

 

さて、今では彼女達の仕事先も広がり、選べる環境にあるはずなのですが、なぜあやさん達はあや業を続けているのでしょうか。私の周りのあやさんは口を揃えて「企業は待遇が良いけど、人間関係が難しい」と言います。大勢の従業員がいる会社では働きたくないのだとか。また、今まであや業で生計を立ててきたので、慣れた仕事の方が働きやすいとのこと。自分の子どもが成人して働いている人は、田舎に帰ってゆっくり農家をしている人も多いと思います。子どもに送金してもらいながら、のんびり生活するのです。時代の変化と共に後継者が減り、いつまで続くかわからないあや業。いろいろ考えさせられますね。

チンチョ・プロフィール

在タイ20年以上の主婦。ひょんなことからあやさんと日本人奥様の仲介をすることに。バンコク滞在経験を生かして双方の相談に乗ったり、多くのトラブルに対応。そしてまさかの高齢出産。あやさんに助けられながら家事に育児にボランティアに奮闘中。

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