コラム バンコクとあやさんと私 番外編 第2回 スラムの人々の生活

バンコクとあやさんと私

番外編 第2回 スラムの人々の生活

聞いただけではきっと想像しにくいバンコクのスラム街の生活...。私達ボランティアはクロントーイ幼稚園にはちょくちょく行っていましたが、スラムの中には足を踏み入れていませんでした。しかし幼稚園存続の危機に直面し、周辺の様子も視察するように。スラムでは麻薬売買などもあるようで、人も雰囲気も独特。外国人が気軽に入れる印象ではありません。今回、私たちはその実態を皆さんにお伝えしたく、数回にわたりスラムを撮影してきました。雨季ということもあり異臭が取り巻き、ゴミが溢れた水溜りがあちこちに...。幼稚園から園児を家に送りながら観察したのですが、その劣悪な生活環境は想像を絶するものでした。両親が麻薬売買で捕まり、祖母に育てられていた女の子。私が自宅を訪問した際、たまたま母親が釈放されて帰宅していたのですが(子供の身寄りが無い場合に一時釈放されるなど、様々な対処方法があるようです)、とても歓迎された雰囲気ではありませんでした。家の中に雨水が入り込み「一体どこで寝るのだろう?」と思わせる部屋、板を置いて水の上を渡れるようにしてはいるものの、足の踏み場もありません。ネズミの死骸も水に浮いていました。スラムにはシンナー中毒の人もいるし、近所の人に「ちょっと子どもを見てて」と
言ったまま戻らない親もいます。仕事をしていても日雇いの人が多く、その日暮らしがやっと。先のことを考えることも出来ません。喧嘩っ早かったり、嫉妬や妬みから犯罪に至るケースも茶飯事。スクンヴィットから車でたった15分の場所に、こんな現実があるとは想像もできませんよね...。でも、こんな環境でも子ども達は“スーンパッタナレボリカーンクロントーイ幼稚園”で明るく走り回っているのです。
朝、園では子供たちにまず牛乳を飲ませます。朝ご飯を食べれない子、栄養が足りない子、に少しでも活力をつけさせるためです(とはいえお金のない園なので、ミルクも薄めて飲ませている状態です)。
スラムの人々が、いつかスラムから出て自活できる日が来れば良いのですが、一度スラムに住むと、結局戻って来てしまう、とよく聞きます。子ども達が将来、豊かでなくともせめて人間らしい暮しが出来るよう、そしてクロントーイ幼稚園が存続できるよう、祈りながらボランティアを続けていこうと思います。

ゴミだらけの通路

ゴミだらけの通路

両親が刑務所に入っているため、孫の面倒を見るおじいさん

両親が刑務所に入っているため、孫の面倒を見るおじいさん

雨季に浸水し、部屋に板を渡している家

雨季に浸水し、部屋に板を渡している家

チンチョ・プロフィール

在タイ20年以上の主婦。ひょんなことからあやさんと日本人奥様の仲介をすることに。バンコク滞在経験を生かして双方の相談に乗ったり、多くのトラブルに対応。そしてまさかの高齢出産。あやさんに助けられながら家事に育児にボランティアに奮闘中。

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