コラム タイ野菜でべジフルライフ 第50回 ニガウリ(マラ)

タイ野菜でべジフルライフ

第50回 ニガウリ(マラ)

ニガウリ(苦瓜)/ゴーヤー/ツルレイシ(蔓茘枝)
Bitter gourd / Bitter melon
มะระ(マラ)

5月初旬の連休に合わせて、一時帰国してきました。今年は桜の開花が早かったので、きた国でも春を満 喫できるかと期待していたのですが、連日、寒くて寒くて肩が凝るほど、ナント、雪まで降る始末。結局、桜は見られないままタイに戻り、東京が初夏の陽気だという頃にやっと桜の開花の報せを受け取りました。あらためて日本は南北に長い国土なのだと実感、食の文化が大きく違うのも納得というものです。
今月は、来タイ間もない方も多いと思いますので、日本でもタイでもなじみのある野菜、ニガウリを紹介します。ニガウリといえばゴーヤー、沖縄の代表的な野菜で、今でこそ多くの日本人が食していますが、以前は、本土では食べることができませんでした。ほんの20年ほど前まで、ウリミバエという害虫のために沖縄の野菜は、本土への持ち出しを禁止されていたのです。沖縄返還後20年以上に亘る国をあげての大プロジェクトの結果、奇跡ともいえるウリミバエの根絶に成功しました。沖縄ブームや緑のカーテン効果などもあり、今では、日本中で親しまれています。
さて、タイのニガウリはと言いますと、日本のものとはちょっと見た目が違うので、戸惑った方もおられるのではないでしょうか。万人向けで食べやすいのは、黄緑色で突起が少ないマラ・チーン(中国ニガウリ)です。日本のニガウリにそっくりだけど小型のマラ・キーノック(鳥の糞のようなニガウリ)は、マラ・チーンより栄養価が高いのですが、とても苦く、タイ人でも好き好んで食べる人は少ないようです。
インドを中心とする東南アジア原産のウリです。タイでは、ゴーヤーチャンプルーのように卵で炒めたり、鶏肉を詰めて煮たり、生の薄切りを麺にドバドバ入れたりして食べています。糖尿病によいということで、乾燥ニガウリにお湯を注いでお茶にして飲んだりもするそうです。
効能としては、苦味成分である「モモルデシン」にコレステロール低下作用があり、「チャランチン」に血糖値を正常化する働きがあります。さらに、カリウム、カルシウム、鉄分や葉酸、ビタミンCやBも豊富で、抗酸化作用や免疫力の向上、疲労回復効果があるとされます。
料理の際にワタと種をスプーンで取り除きますが、ワタに苦味成分があるわけではないので、食感や見た目を気にしなければ、テキトーでいいです。種には脂肪燃焼効果があるといわれる共役リノール酸が含まれていますので、塩炒りするなどして種も食べてみてください。苦味を抑えるために塩もみをしますが、それでも気になる方は、砂糖を塩の2~4倍くらい加えるといいでしょう。また、放置しておくと種が赤くなり、ウリの部分が黄色くなりますが、腐っているわけではありません。熟したことにより、苦味が減って柔らかくなりますので、苦味が苦手な方は、色づいたのを食べてみるのもいいかもしれません。赤くなった種のまわりは甘いので、甘味と赤い色を利用してデザートや炊き込みご飯にしたり、黄色くなったウリごとジュースにしてもいいでしょう。
水気と乾燥が大敵なので、濡れ新聞などで包んで冷暗所、または水気をふいてポリ袋にいれて冷蔵庫で保存してください。残ったら種と綿を取り除いてラップして冷蔵庫、あるいは、薄切りして冷凍保存するといいでしょう。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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