タイ野菜でべジフルライフ

第51回 ヒョウタン

ヒョウタン(瓢箪)
Bottle gourd
น้ำเต้า (ナムタオ)

暑さが続く中、あれだけ待ち焦がれた雨季の到来だというのに、出かけようとした矢先の雨はガックリしますし、渋滞を考えるとうんざりしてしまいます。今月からシーロムとスクムビットを行き来することが増えたので、空模様がますます気になる毎日です。実は、スクムビット49にある「The Pilatest」というピラティスのスタジオ内にあるカフェで SALADee の料理を提供し始めました。ソムタムやおにぎりなどの軽食がメインでお持ち帰りもできます。事前にご注文いただければシーロムの料理もデリバリーいたします。サミティベート病院の真ん前ですが、まだ看板もなくジムの受付を通って入らなければいけないので入りづらいのですが、外部の方も歓迎ですのでどうぞご利用ください。
でも雨は決してイヤなことばかりではありません。雨が降らないとおいしいものが食べられなくなりますから、雨には感謝しなければいけません。昨年は、いつも仕入れている玄米が水不足のため小粒でした。天候に左右されてしまう農作物、農家さんの苦労を推して知るべしというものです。暑季には元気がなかった野菜たちも、雨が降り出してイキイキとしているのがわかります。特に瓜など果菜類はみずみずしく、かわいらしいヒョウタンもズラッと並ぶようになりました。今回は、このヒョウタンを紹介しましょう。ヒョウタンといえば、酔っ払った爺さんやらタヌキがぶら下げているイメージで、食べるというより容器として利用されている気がしますが、実はとってもおいしい食材なのです!
世界最古の栽培植物の一つで、食用としても容器としても利用価値が高いことから世界各地の遺跡から発見されています。食べたことがないと思う方も多いでしょうが、お寿司などに使う干瓢は、まさに干した瓢箪のことです。干瓢の原料となるユウガオはヒョウタンの一種です。他にもさまざまな種類があり、よく見るくびれがあるタイプ、丸型、UFO型、真ん丸型などユニークで、色も薄緑から濃い緑や模様があるものもあります。品種によっては苦味があって中毒症状を起こすこともありますので、食用として販売されているのを買いましょう。タイでよく見るのは電球型とでもいうのか、上が細く下が丸っこい形で、大きさはいろいろあります。容器に使われているくらいですから、いかにも硬いのかと思いきや、拍子抜けするほどに皮が柔らかくスルスル剥けます。この扱いやすさからカービングにもよく利用されるようです。
熱帯原産ですから常温で保存できます。小型の方が種も小さく、料理によっては皮ごと利用できますので扱いやすいといえます。大きいものも皮を厚く剥く必要はありません。苦味も癖もほとんどなく万人向けといえるでしょう。炒め物や煮物、スープの具にピッタリ、お好みの味がしみこんで美味しく食べられます。生のまま漬物にしたり、タイでは茹でてナムプリックをつけて食べますので、同じように温野菜サラダとして食べてもいいでしょう。
ヒョウタンは、他のウリ類と同様低カロリーで利尿作用があり、むくみや高血圧、糖尿病などにいいとされています。雨期の到来に感謝しつつ、ヒョウタンを食卓に並べてみてはいかがでしょう?

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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