米国大統領選は11月3日に投票が行われます。この記事を読む頃には結果が出ているかもしれませんね。今回も接戦が予想されますが、投票日まで1カ月の段階で期日前投票を済ませた有権者の数は既に660万人と過去最高を更新する勢いです。
新型コロナウイルスの感染拡大で、世界で最も影響を受けた国はアメリカです。トランプ大統領の対応は様々な議論を引き起こしました。経済的にも大きな影響を受け、雇用や消費に大きな傷跡を残しています。政治的課題は目白押しで、人種的な対立や政策への不満は増幅しています。大統領候補の政治方針に言いたいことがある有権者は多いでしょう。加えて、新型コロナウイルス対策として、多くの州が事前投票と郵送投票を拡充したことや、それらの制度をトランプ大統領があげつらったことで、有権者の投票への関心や熱意が上がったという側面もあります。最終投票率は前回の58%から65%程度まで上昇するという予想も出ています。
大統領候補がどちらも高齢で、任期を全うできない可能性がある点もポイントです。そのため、副大統領候補にも注目が集まります。共和党は現職のペンス副大統領ですが、民主党は女性のハリス候補です。当選し、任期中に大統領が欠けた際には米国初の女性大統領が誕生します。
どちらが勝っても大差がないと言える点は、経済を回復させ、雇用を復活させ、消費を取り戻す政策を打つことでしょう。中国との関係も、筆者はそれほど差がないと考えています。
大統領選に加えて注目すべきは、同時に行われる議会選挙です。もし、どちらかの政党が圧勝した場合、経済に与える影響は大きいでしょう。民主党は大規模な追加財政政策を提案していますが、大盤振る舞いした結果、財政赤字が大きく増えます。そうなると、米ドルの長期金利は上昇しやすくなり、それに伴って米ドル高が進む可能性が強まります。景気刺激が大きいことは良いことですが、独占禁止(反トラスト)を懸念する議員の多い民主党は、デジタル産業への規制に積極的なため、株価にとっては抑制的に働く可能性があり、市場のボラティリティが高まることが懸念されます。共和党が勝った場合には、アメリカ優先の政策がより目立つ可能性があり、深い傷を追った世界貿易の立ち直りには、より時間が掛かる可能性があります。
アメリカの政治の影響は米国内だけにはとどまりません。世界中が巻き込まれます。選挙に参加できないのに影響は大いに受けてしまう。理不尽な気なもしますが、次の4年間を占う選挙なで、注目せねばなりません。