タイ在住の頃の買い物の悩み、それは欲しい服がない、ということでした。「タイは安いけど可愛すぎるタラート系ファッションか高級ブランドだけ…」とよく愚痴をこぼしていたものです。それなのに実は今、日本で欲しい服を見つけるのにとても苦労しています。なぜなら、質が高く値段も手頃な服がたくさんあるのはいいけど、とにかくナチュラル志向が主流だからです。
バブル時代は女性性を武器にするようなビビッドカラーやボディコンが流行っていましたよね。私が大学生だった頃はモノトーンのフレンチカジュアルでした。その後コンサバ、トラッド、きれいめ、フェミニンなどを経て、ここしばらくナチュラル志向が続いています。自然素材が多く、色はベージュや茶系、スタイルも体のラインを出さないような服ばかり。国内景気の先行きが見えなかったり、震災が続いたりと、この数十年の日本はどうしても保守的にならざるを得なかったからか、人々の気持ちがこのナチュラル志向に反映されているような気がします。
日本の女性はこぎれいで清潔感があり、素敵だなあと思う一方で、自分が好きな服、自分の体に似合う服がまず見つからないのです。20代30代のようにカジュアルが似合うわけでもなく、かといってエレガンスな上質マダムファッションも苦手。そもそもベージュがとことん似合わない。そんな40代はどこで買い物をしたらいいのか…。
新しい時代を迎えた日本は、お祝いムードに春の心地よい気候が加わり、人々の顔も晴れやかです。これからのファッションは、ナチュラルもボディコンもフェミニンもカジュアルもありの、もっと自由でそれぞれの個性が活かせるようなものになったらいいな、と思います。