コラム 海外暮らしのキャリアデザイン 第19回 “キャリアの重心”が我々を救う

海外暮らしのキャリアデザイン

第19回 “キャリアの重心”が我々を救う

タイパやコスパが重要視される時代。キャリアにもそれを求める傾向があり、理想のキャリアへの最短ルートがわかる「地図」を欲しがっているように思うことがあります。

しかし、海外暮らしはその「地図」は白紙になりがち。住む場所も人間関係も刻々と変わる中で、何を道標にしたらいいかわからず立ち止まる方もいるのではないでしょうか。

そもそも私たちの脳は、元来“変わらないこと"を好むため、変化の多い海外暮らしの中では自然と不安や焦りが生まれ、立ち止まりやすいのです。と同時に、不安はとても強い感情のため、それを回避しようととにかく行動し続け、いつの間にか疲弊してしまうこともあるでしょう。

こんな風に、日々取り巻く環境が変わる私たちに必要なのは、理想への最短ルートや闇雲な行動力、ではなく「いつでも自分に立ち戻れる場所」。

それが、私が大切にしている「キャリアの重心」を整えるという考え方です。

「キャリアの重心」とは、私の造語ですが、人生に揺らぎがあったときでも、いつでも自分に立ち返れる“軸"のようなもの。自分の価値観、自己信頼、しなやかな信念… そうした内なる感覚を見つめ直し、そこに立脚してキャリア構築していける自分を育てていく。それが、変化の多い海外暮らしの我々にとってBESTなキャリア戦略なのです。

VUCAと言われる変化の時代に、キャリアに絶対的な答えはありません。大切なのは、何度でも揺らぎながら戻って来られる「私だけの重心」を持つこと。どこにいても、何をしていても、そこに立ち返ることができれば、またいつでも歩き出せるはずです。

そしてその旅路に必要なのは“社会的な正解"ではなく、“あなたの内側"にあります。ライフスタイルが変化しやすい私たちだからこそ、積み上げ型でも逆算思考でもない、もっと根っこの「キャリアの重心」をじっくり育てるという、新しい形のキャリアを生きていきませんか。

by A i

2019 年~2022 年までバンコク在住。現在はマレーシア(クアラルンプール)で夫と小学生の娘と3 人暮らし。海外生活がスタートした時、新卒から 10 年以上働いていた会社を辞めたことでアイデンティティ・クライシスへ。肩書きなどに依存することなく自分を生きたいとコーチング、キャリアコンサルタントの学びを深め、現在は世界15カ国75名が参加する女性コミュニティを運営している

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