3月は、海外在住者にとって心がざわつく季節。 本帰国、送別会、新しい環境への適応…。別れや変化に向き合う時、様々な気持ちが押し寄せ、ときに予想以上の重みとなります。特に海外生活では、距離や時間の制約の中で、それが二度と戻らないものに感じるかもしれません。
こうした気持ちに直面する時、多くの人が「前向きにならなくては」と感情に蓋をしがちではないでしょうか。そんな時こそ自分を奮い立たせ、早く切り替えることが、大人の対応のように思うかもしれません。
感情を押さえ込もうとすると、一時的にスムーズに行っているように思えますが、その感情は心の奥に溜まり続け、どんどん拗らせていきます。拗らせた感情は、どこかでより大きなダメージとなって返ってきます。
さらに、感情に蓋をすることに慣れてくると、どんどん本当の自分の感情を掴めなくなっていき、その結果「やりたいことがわからない」キャリア迷子に繋がっていきます。
感情は、時に非効率で邪魔なものに感じます。特に真面目で頑張り屋さんは、感情に左右されずに「やるべきことをやる」ことこそが、正解のように思っているかもしれません。
しかし、高速処理するAIが台頭するこの時代だからこそ、不器用にもいろんな感情を味わうことは、人間だからこその特別な「贅沢」ではないでしょうか。
大人だって、泣きたい時は泣いていいし、辛い時は辛いと言っていい。それは「弱さ」ではなく「次に進むための準備期間」です。無理に感情を切り替えるのではなく、感情を感じきることで、次の一歩を踏み出せるのです。
この春、別れや変化に向き合うすべての方へ。どうか、自分の感情に優しく寄り添ってください。心に宿るどんな感情も、唯一無二のあなたのキャリア(人生)を彩る、大切な糧となります。
人は揺らぐからこそ、しなやかに強くなっていくもの。そのプロセス全てを、味わっていきましょう!