ある女性のSNSの投稿で、仕事の取材で年齢を聞かれ「内緒です」を押し通したという記事を見た。その方によれば、「若い方が良い」とする一般日本人男性が多い社会の中で年齢を明かす事は得になる事は何もない、というものだった。「あからさまに冷たくなる」のだと…。日本は特に女性は若いともてはやされる風潮が強い事は事実。残念な事だ。歳を重ねる事は記号であり、経験値であり、素敵な事であり、人に勇気を与える、との認識になればいいのに、と私は強く思う。

とはいえ、年齢を気にする、率先して言えなくなる時期というのがあるものだ。30代後半くらいからだろうか?あるいは40代以降か。「若さ」に多少なりとも翳りを自覚しはじめるからだろう。失いつつあるものへの執着といえよう。徹夜が辛くなり、肌質に起こる微妙な変化を見てみぬ振りが出来なくなり、重力の容赦ない働きを肉の移動に感じる頃、実年齢より「若い」と言われる事を望むようになるのだ。

「若い」と言われて喜びを感じた時点で若くはない…と、悪友から笑われた事を思い出す。当時よりはその言葉を理解出来るようになった。年齢が若い事が良いとは決して思わない。だが、若く見える事はまだ諦めたくない。この気持ちはいつかなくなるのだろうか?それともなくなったら、老け込んでしまうのだろうか?抗いたい思いは老いを受け入れる潔さと相反するのだろうか?私は白髪染めをする度に自問する。年齢は記号だと言いたい理由は他にもある。

●その年齢なのに、○○もわからない、出来ないまたは出来る。
●その年齢のわりに、○○に見える。
●その年齢で、そんなこと考えている、またはしている。

などは人それぞれで、年齢で判断出来るものではないし、されたくないと思っている。何にせよ、他人からどう見られたとしても、自分は自分であると開き直る強さが欲しいものだ。尊敬する師から、「人生の本番は50歳から」と聞かされたのは、まだ30代の頃。50歳というと…10代20代の頃は、もう「年寄り」なんじゃないか?と想像していた。が、30代も40代も10代の時に想像していたより、ずっと若かった。まだおしゃれも楽しむし、ビキニも着るし、SEXも愉しむ。旅にも出るし、新しい事にも刺激を受けるし、今までと違う事にもチャレンジする。

やりたいこと、やりたくないこと、出来ること、出来ないこと、自分の事もわかるようになって、何だか少しずつ自由になってきた。そう、いろんな弱み強みが見えて、余計なものが剥がれ落ち、でも経験値や人脈が増え、深く濃くなり…本当にやりたいことが見えてくる。歳を重ねるってそういう事。見た目(生き方)に責任を持ち、若さに頼らない美しさをきちんと追求していく必要性もひしひし感じている。そんな私も、抗いながら1月にまた一つ歳を重ねた。『ソイトンロー』まであと、5年。人生は続いていく、ともに頑張ろう。