第30回 価値観を合わせるのでなく、認め合う
先月、私達夫婦はネパールへ行きました。タイ人の友人がネパール人との交際を実らせ結婚式をするとの事で、国をまたいでお祝いに駆けつけたのでした。旅先での外国人同士の結婚式だから、と気軽にゆかたで行くと主張する夫と、きちんと礼装で参加したいという私、意見が分かれ、最終的には私の思いを尊重し、夫が折れた形となりました。そんな事も鑑みて今回は、夫婦間で意見や思いが違った場合のすり合わせについて書きたいと思います。
夫婦といえども所詮は他人、育った環境も違えば価値観も違います。よく「結婚するなら価値観の合う人がいい」といいますが、ざっくりした価値観が何となく合っていても、日々の選択の中ではひとつひとつの意見は食い違い、大抵どちらかより拘りの強い方に合わせているのではないでしょうか。
私が大事だと思う事は、価値観が同じ、ではなく、違う価値観を持ったまま話し合えるかどうか、です。私達夫婦は思いを行動に表すと真逆になる事が多いので、お互いの苦手を補う、という意味では最強のパートナーとなりうるのですが、意見や思いが食い違った場合のすり合わせやどちらが折れるか、には時間をかけて話し合いを持ちます。何故なら根本にあるのが「みんなそれぞれ違っている、それでいい」というコアな部分を大事にしたいから。それでも夫婦で一つ、という単位で前に進む時、その違いが行く手を阻むこともあるわけです。お互いのこうしたい、を尊重するとなると別の道を行く事になる。旅行先などでは、休みたい私と探検したい夫、別行動をとる事もしばしば。よく「相手の立場にたって」といいますが、相手の立場にはなれない、だって自分は自分だから。その自分が大切だと思う相手が、自分とは全く違う意見を持っている、それに対して自分がどう思いどう行動するか、だけが自分の範疇なのです。もし相手の立場になれるとしたら、正しくはそれは、その時相手が感じた、嬉しい、悲しい、寂しい、困る、一緒に居たい、といった感情をどう受け止め、どう行動するか、だと思います。行動の元の感情が何なのかは、言葉に出して表さなければわかりません。言わなくても察してくれるはず、と期待するのは無理と言い切りたい。自分がどう感じどうしたいのか、相手がどう思ってその行動をしたい、またはしたくないのか、は聞かなくてはわからないわけです。
日々の小さな事を、おざなりにも、なおざりにもせずに、言う、聞く、を習慣にしていくと、大きく衝突する事もなく、どちらか一方がストレスを溜めて一気に爆発する事もなく、程よくお互い自由で、何かを強要する事もなく、思いやり合って過ごせるのではないでしょうか。違いを理解したというより、違いがあるという事実を理解し、心を寄せられるか? どちらも折れない時にはその話題は一旦保留にする。違いを認め、尊敬し合っていれば、その時々で円満に収める事が出来るのだ、と、異国の地で、さらに違う国同士のカップルの結婚式で改めて感じたのでした。
6月はジューンブライドの季節、結婚生活や夫婦のあり方を考えるには良い時期かもしれません。
Published · Updated
by hiroko 「結婚・離婚アドバイザー」
来タイ4年目! ライター、ラジオDJ、普段着物愛好家。着物をもっと身近なものにをモットーに、バンコクFM放送局J-channel、毎週月曜日Morning Kissには着物やゆかたで出演中。リクエスト、メッセージなど大歓迎です
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