コラム 元BANGKOK駐妻通信 第34回 置かれた場所で咲く

元BANGKOK駐妻通信

第34回 置かれた場所で咲く

 いきなりネガティブですが、6年前に仕事を辞めてバンコクに移り住んだ当時の私は、無職になり自分の存在価値を見失っていました。さらに日本人コミュニティでは、付き合いの距離感が分からず悩むこともありました。「駐妻生活、楽しんだもん勝ち! 」とよく耳にし、それならば楽しもうとランチや習い事に明けくれたこともありました。しかしモヤモヤが大きくなり「この生活に意味あるかな」と、ふと虚しさに襲われました。

そんなときに読んだ本が「置かれた場所で咲きなさい」(渡辺和子著)です。できないことを環境や他人のせいにしてドロドロしていた気持ちがスーっと流れていきました。どんなところに置かれても、自分ができることを精一杯しよう。そこで自分の花を咲かせよう、と前向きになれたのです。
まず、日本人学校でボランティアを始めました。たくさんの子どもたちと関われたことは、私の心の支えになりました。熱意あふれる先生方、ボランティア仲間には本当に助けてもらいました。

また、私は私、他人は他人と割り切って行動することもできました。一人でもワクワクしながら過ごしていると、思いがけない出会いがあり、それが宝物となりました。特にタイ語学校のメンバーは心おきなく付き合える最高の仲間です。たくさんの人との出会いに感謝し、今はタイ生活がキットゥン(恋しい)です。いつかまたタイで暮らしたいので、細々とタイ語学習は続けています。

環境が変わる時には、先が見えず不安になるかもしれません。まずは、自分に何ができるかということを意識して過ごせば良いのではないでしょうか。しんどくて、いま置かれた場所でどうしても咲けない時は、下へ下へと根を伸ばして咲ける時をじっと待ち続ければ良いと思います。その中で新たな発見があり、未来につながる土台ができるはずです。コロナ禍で大変なことも多いですが、皆さまが世界のどこにいても置かれた場所で咲かれますように。

やまだくみこ

夫、長女(高1)、長男(中2)の4人家族。2015年から2018年まで夫に帯同しバンコクで過ごす。現在、学校非常勤講師。区立幼稚園から義務教育学校まで幅広い年齢の子どもたちの学習支援に携わる

関連記事...

バックナンバー情報..