コラム タイ野菜でべジフルライフ 第54回 バナナ(クルアイ)
第54回 バナナ(クルアイ)
バナナ
Banana
กล้วย(クルアイ)
今年は、何度かバムルンラードで開催された「ママとベビーの会」でお話をさせていただきました。赤ちゃんが野菜や果物に興味を持つわけもなく、泣き声が響く中でのセミナーで、なかなか珍しい体験をさせていただきました。そんなセミナーの後に個別にいただいた質問があります。「最近、ママ仲間でバナナは両端切り落とし、半分に切って中の黒いところもスプーンでくり抜いてあげなければいけないと言われているんですが…。本当にそこまでしなくちゃいけないんでしょうか?」みなさんは、どう思いますか? この話は、専門家と名乗る方が「野菜や添加物の安全な食べ方」を雑誌で特集したことで広く伝わった気がします。農薬がたまるのは両端だからカットして食べましょうと。しかし、東京都などいくつかの機関がこれを検証しましたが、バナナの端っこに特に残留農薬がたまるというようなことはありませんでした。
私がいつもする「安全」の話ですが、「危ない」と言うのは簡単で誰でも言えます。それを避けたからといって害はないですから責められもしません。でも「安全」については証明することが難しいので、誰も「絶対安全」とは言わないものです。バナナは長い間、タイでは離乳食にも利用され、日本でも輸入品として親しまれてきました。今では日本人が最も多く消費する果物です。今より検査が緩い時代から普通にバナナを食べてきた私たち大人に何か異常があるでしょうか?
話しのついでですので、今回は、バナナについて述べます。今さら? 今ごろ? という感じでしょうが、バナナを真剣に語るとこれくらいのコラムでは足りないほどオモシロイものなんですよ。
東南アジアの熱帯地域が原産です。バナナの木は、仮茎という葉が何枚も重なったもので、正確には草本として野菜に分類されます。日頃食べているバナナには種がなく、株分けのようにして増やします。野生のバナナには種があり、時々ですが、タイで食べるバナナに固い種が入っていることがあります。日本でよく食べるのは、クルアイ・ホーム、タイ人が最も好んで食べるのは、ずんぐりむっくりしたクルアイ・ナムワー、他にクルアイ・レップ・ムー・ナーン、クルアイ・カイなどいろいろな品種がありますので、せっかくタイにいるのですからいろいろ楽しんでみてください。
バナナの豆知識として、いつも食べる軸が伸びている方ではなく、尻の方から皮を剥くと甘味をより感じます。また、保存の際には、房から外して1本ずつバラバラにすると長持ちします。その1本ごとの軸をラップでピッチリ包んでおくともっと長く持ちます。冷蔵・冷凍庫に入れると黒くなりますが、1本ごと皮を剥いてラップして冷凍すると黒くなりにくいです。流行りの (?) 50度洗いも効果があります。5分お湯につけて1時間室温に置いた後、ポリ袋に入れて冷蔵庫に入れれば、黒くならず長持ちします。
バナナの効能は、とても書ききれませんが、免疫力を高める、消化吸収を高める、胃腸の調子を整える、コレステロールや血糖値を安定させる、脂肪燃焼作用、抗酸化作用、高血圧を予防などなど、栄養たっぷりでバランスがよいので、離乳食や妊娠中・病気の方におススメとされますが、成人が食するのにも理想的な食材といえます。朝食や夜食に1本、空腹時に1本、野菜が不足していると思ったら1 本と、バナナの実力を実感してください!
青澤直子
健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road