特集記事 海外で和を装う、和を伝える!

海外で和を装う、和を伝える!

皆さんは着物を持っていますか?

海外では、日本人がパーティや会食などで着物を着ていると、外国の方からとても印象的に映ります。

タイは暑いし着るのが大変そう、とつい疎遠になってしまう和装ですが、WOM 2017年新年号は、「海外暮らしだからこそ、和心を大事にしたい」というコンセプトで、和装と和のお作法についてお伝えします

さあ、まずは着物を着てみよう!

皆さんは、着物を着たことがありますか? 「浴衣ならある」という方や「七五三や成人式以来着ていないし、自分では着付けができない」という方が多いと思います。和装は日本の伝統文化。海外から流入してきた様々な習い事が溢れる昨今、“着物文化"を伝える一環として、着付け教室の存在が浮上しています。今回はバンコクで着付け教室を実施している「サイアム和装」さんご協力のもと、着付けと和のお作法、着物のコーディネートについて取材させて頂きました。

ここではまず、足袋、裾除け、肌襦袢、長襦袢を身に着けた状態から説明します

※ちなみに長襦袢の着付けは着崩れを防ぐ重要なポイントになるので、 プロからしっかり学びましょう

1, 道具を揃える(着物、コーリンベルト、伊達締め、帯、帯板、帯枕、帯揚げ、帯締め、仮紐など)

2. かけ衿の端を両手で持ち、後ろから背中に沿わすようにして立ち上がり肩にかける

3. 長襦袢の袖を着物の袖にしまい、袖を整える

4. 衿先(えりさき)を持ち、左右を前正面で合わせ、背中心を確認

5. 裾の長さを決め、腰ひもでしっかり止めておく

6. かけ衿の端を合わせ胸の真ん中に来るよう確認し、その人に合った衿に仕上げコーリンベルトで止めておく

7. 伊達締を締め、着物のしわをのばしておく

8. 衽線が合うようにおはしょりを整える

帯を巻きます

手先を枕の来るところまで半分に折って、輪が下になるように左肩にかけておく(但し帯の柄や体型によって右にかける場合もある)

1. 自分で一回転して、右手に帯をかけ左手で背中の手先を帯の下に線まで引き下げ軽く帯を締める

2. 二重目は前に来る柄を確認、なぞる様に締めていく。しっかり締めてから手先を前に預ける

3. たれをひらいて三角形を作り仮ひもで押さえておく

4. 帯揚げをかけた帯枕を背中に密着させ枕のガーゼを前で縛る

5. たれの位置を確認して、お太鼓の形を整える

6. お太鼓の底辺に仮ひもを通してひもを垂らしておく。帯の側面が一直線になる様に、垂らしておいた仮ひもを前に持ってきて結んでおく

7. 手先を輪が下になる様に仮ひもの通っているところに通す。帯揚と帯締を丁寧に締めて完成

8. 皆さんで着付け姿の確認を生徒さん同士で確認していただきます

9. 最後にご挨拶

和室での所作と食事

海外に住んでいると、つい忘れてしまいがちな和室での所作。一時帰国や本帰国の際、上司のお宅や旦那さんの実家へのご挨拶など、いざという時に恥を欠かないよう、準備しておきたいですね。また、海外でも和室の個室を備えている日本料理店はよくありますし、テーブル席で懐石料理などを頂く機会もあるかと思います。そんな時、ちょっとしたお作法を知っているだけでぐっと上品なイメージに。是非実践してみてくださいね。

和室では、畳のへりを踏まない、床の間の位置を確認して上座、下座を確認し、主賓や目上の方には上座にお座り頂きます。畳のへりから16目離れた位置に正座し、末広の要が右なるように置きご挨拶

障子やふすまを開ける際は、まず正面に座り、引手を手が入るくらい開けます

同じ手を下のほうに下げ、体の中心ほどまで開けます

今度は反対の手で3㎝ほど残すように開けます。しめる際は3㎝ほど残しておいた障子やふすまの下のほうを持ち、体の中心まで閉め、反対の手で手が入るくらいのところまで閉めてから、その手で引手に手をかけ、静かに閉めます

お菓子を頂く際や食事などでは懐紙が必需品。懐紙は輪が下になる様に懐中しておきます

和食を頂く際、椀物など蓋の開け閉めは右手で。左手は添えるように使います

頂く際、箸をいったん左手の人差し指と中指の間に挟み、右手で取る。これは高度なマナーなので練習が必要

※「サイアム和装」では生徒さんを連れて食事会 (外食または教室で)を実施し、テーブルマナーを学びます

茶道のこと

日本を代表する伝統文化の一つ、茶道。精神を落ち着かせ、心穏やかな状態で「茶を振る舞い」「茶を頂く」。日本人なら誰もが一度は体験するであろう、茶を頂く機会。お作法を学んでおいて損はありません。バンコクで本格的に茶道を習いたい方は、「茶道裏千家淡交会バンコク協会」に連絡してみましょう。

茶道裏千家淡交会バンコク協会

連絡先: ブーイ文子 081-640-7003, 松本浩子 085-199-7205
場所:CITIRESORT ANNEX内
茶室お稽古: 月3回 (火・水・木の午前中)
※初心者歓迎、見学可 (要事前予約)

着物と帯

よく着物一枚に帯3本といわれるように、同じ着物でも帯を変えるだけで随分雰囲気も変わりますし、着ていける場所も変わります。帯揚や帯締も、帯の格と合わせたり色を楽しんだりしながらコーディネートを楽しんでみましょう。今回は薄いピンクの色無地の着物に4種類の帯を合わせてみました。

色無地の着物に博多帯

かなりカジュアルな組み合わせ。お稽古やショッピング、居酒屋などでのお食事に

色無地の着物に品の良い袋帯

華やかながら派手さを抑え、凜とした印象。お子さんの卒業式や入学式、お茶会などに

色無地の着物にきらびやかな袋帯

パーティや結婚式にも出席できる組み合わせ。季節、年齢、お会いする方々との関係などを考慮し、上品に華を添えましょう

色無地の着物に刺繍帯

上品な組み合わせ。コンサートや、ホテルのレストランなどでの食事会に

着物と帯の組み合わせ方

洋服と異なり、着物は似合う色と似合わない色がありません。たとえご自分に似合わないとされている色の着物でも、帯や伊達衿に似合う色を持ってくると不思議と似合うのです。これは着物を着こなす大切なポイントです。また、着物には格があります。TPOをわきまえ、帯を変えたりしながら和装を楽しんでくださいね。

振袖

総絞りの振袖と古典柄の袋帯。今年、卓球の福原愛さんが結婚会見で着ていたのも総絞りでした。その後、総絞りの着物はかなり人気が出てきました

訪問着

きれいなエメラルドブルーの訪問着はやさしい花模様。対照的に大きな花の帯を合わせました。この色の着物が似合わない方は伊達衿と帯揚、帯締に濃い色を合わせると良いでしょう

付け下げ

たたき染めの豪華な菊の文様は、裾から肩まで繋がっています。少しでも菊の文様を出せるよう長身の方におすすめです。帯は引き拍をあわせ大人っぽい組み合わせです

小紋

よくみると色んな花、家、人が描かれている縮緬の小紋は、あっさりしたを合わせ帯揚や帯締で引き締めています

小紋

大胆な更紗文様の小紋は無地の帯を合わせ、さらに着物の柄を引き立てています。全体の色の組み合わせは洋服っぽくしました

タイシルク

きれいな色の地模様のタイシルクの色無地は八掛も共八掛です。衿と帯止めの黒を引き立たすために着物と帯は無地にしました。タイシルクは紬に属しますので、残念ながら結婚式や改まったお席には適しません

「サイアム和装」主宰 来住ゆか

はじめまして。来住ゆかでございます。私は桜の美しい奈良の吉野で生まれ育ちました。幼いころから着物を着る機会が多く、お寺での花祭り、お稚児さん、夏祭りや秋祭り、そしてお正月、着物とともに美しい四季を楽しみながら過ごしてまいりました。ご縁があってバンコクで生活するようになり、タイシルクの素晴らしい布との出会い、タイ人の着物や日本文化に対する興味を知り、文化交流ということで何かお役にたたないかと起業する運びとなりました。絹を愛する民族同士お互いの国の文化を紹介する架け橋となれればと願っています

業務内容

着付け教室/和装レンタル/実践着物でお出かけ/イベント着付け/和室販売/日本での呉服屋紹介など
電話: 089-223-9538 (日本語)

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※上記内容はWOM Bangkok本誌(Vol. 107 2017年1月号)掲載当時のものであり、現在までに変更となっている場合があります。予めご了承ください。

by WOM 編集部

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