コラム 海外暮らしのキャリアデザイン 第18回 承認されたい女たち

海外暮らしのキャリアデザイン

第18回 承認されたい女たち

「ありがとう!」「すごいね」「◯◯さんのおかげで助かったよ」

あの頃は、そんな言葉を日常的にもらっていた気がする。でも、仕事を辞め、その声はすっかり聞こえなくなった。もう誰にも必要とされないような気がして、小さなことにも自信が持てなくなって、将来への不安と焦りがつきまとう…。

─突然ですが、これは過去の私です。

もしかすると、あなたの心にも、少し重なるものがあるでしょうか。海外暮らしがスタートした途端、キャリアが断絶され全てがゼロクリアになったような感覚になった方なら、共感を覚えるかもしれません。

そんな方々に共通するのは、不安を払拭するように行動を重ねたり、わかりやすい資格やスキル取得に励んでいることです。その行動の源泉には「また誰かに認めてほしい」「必要とされる私でいなくては」という無意識の思い込みがあります。それゆえに頑張りすぎてしまう。過去の私が、まさにそうでした。

あの不安感や自信のなさは、仕事を辞めたからだと思っていましたが、今ならはっきりわかります。

本当に揺らいでいたのは、「誰かに認められなければ、自分には価値がない」そんなふうに感じる、私の脆くて繊細な"アイデンティティ"だったのだと。

承認欲求は、誰にでもある自然な願いであり、本来は私たちを前に進ませるエネルギーです。でも時にその願いは、孤独と不安の中では刃のように自分の心を傷つけてしまうことがあります。

本当に必要なのは、何をしててもしていなくても、あなたがあなたらしくいられる場所。安心感がないまま、必死で誰かに認められようとするのは、苦しさしかありません。あなたの人生は、誰かに評価されたり必要とされるために、ここにあるわけではないでしょう?

だからもう、不安や不足感をエネルギーに変えて鎧を着込むのではなく、素っ裸の自分を丸っと受け止めよう。それこそが、真に理想のキャリア(人生)への入り口なのです。

by A i

2019 年~2022 年までバンコク在住。現在はマレーシア(クアラルンプール)で夫と小学生の娘と3 人暮らし。海外生活がスタートした時、新卒から 10 年以上働いていた会社を辞めたことでアイデンティティ・クライシスへ。肩書きなどに依存することなく自分を生きたいとコーチング、キャリアコンサルタントの学びを深め、現在は世界15カ国75名が参加する女性コミュニティを運営している

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