コラム 海外暮らしのキャリアデザイン 第33回 『帰国したら頑張ろう』が、実は一番危険です

海外暮らしのキャリアデザイン

第33回 『帰国したら頑張ろう』が、実は一番危険です

先月号の「本帰国キャリア座談会」は多くの反響をいただきました。いつかは訪れる「本帰国」へ、皆さんの関心の高さを感じました。

キャリアの視点では、本帰国は「人生の転機(トランジション)」と捉えます。だからこそ、多くの人が揺らぎを感じやすい時期です。

ただ、転機は新しい問題が生まれるというより、これまでの思考や行動のパターンが表面化しやすくなるのです。例えば、忙しくなると一人で抱え込んで、最終的に感情が爆発してしまう人。誰かを優先しすぎて、自分を後回しにしてヘトヘトになる人。不安が強くなると、孤独感を強めて籠りがちな人。

こうした反応は、本帰国だけで起こるものではありません。仕事、子育て、人間関係など、人生のさまざまな場面で繰り返してきた「自分のパターン」です。どんなにテキパキできる人でも、きっとみんなそれぞれに抱える反省パターンがあるものです(漏れなく私も)。

この「自分のパターン」を映し出してくれる本帰国は、ある意味で自分をアップデートする最高のタイミングと考えています。

人生の中で、自分のパターンを客観的に見直し、必要に応じて手放したり取り入れたりできる機会はそう多くありません。しかも、本帰国はある程度予測できる転機です(多くの場合、3年以内には本帰国かもという、かなり幅広い予測ですが)。だからこそ「私はどんな反応をしやすいだろう」と、事前に自分のパターンと向き合うことができ、それを更新することができるのです。ここに本帰国の大きな価値があります。

本帰国の準備とは、日本で暮らす準備だけではありません。これから先、何度も訪れる人生の転機と、しなやかに付き合える自分を育てる準備でもあるのです。本当の意味での本帰国準備は「どんな自分で生きていくか」の軸を定めること。日本に帰って露呈する、自分のパターンに振り回されてからでは苦しいから、海外で暮らしている「今」から育てていきましょう。

by A i

2019 年~2022 年までバンコク在住。現在はマレーシア(クアラルンプール)で夫と小学生の娘と3 人暮らし。海外生活がスタートした時、新卒から 10 年以上働いていた会社を辞めたことでアイデンティティ・クライシスへ。肩書きなどに依存することなく自分を生きたいとコーチング、キャリアコンサルタントの学びを深め、現在は世界15カ国75名が参加する女性コミュニティを運営している

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