毎年、この時期には多くのご家族の方がバンコクに赴任されて来ますが、慣れない生活に不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか? 中でも心配なのは海外での「病気」や「衛生」のことかと思います。
日本は世界の中でもとても衛生状態がよい国です。除菌、抗菌という言葉を街じゅうでよく目にします。ですから初めてバンコクの街を見ると、「汚いから触ってはダメ!」などと、お子さんについ言ってしまうこともあると思います。やはり衛生が気になるところですよね…。
我が家は15年前にジャカルタに駐在していました。当時はまだ、健康診断は海外に受けに行くような、そんな医療事情でした。お友達のお子さんがアパートの庭の砂場で傷口から寄生虫が入りこんで切開したり、アメーバー赤痢を引き起こす子もいる状況です。我が家の子供たちも外食であたって、噴射するように吐き出し高熱を出したこともあり、目の前で苦しむ幼い子供たちを前に、「なぜそんな病気を食い止めることができなかったのか」と自分を強く責めたこともありました。だから「触っちゃダメ!」が日常になっていたと思います。
それでも、我が子たちはよく高熱を出しながらも、地面に落ちたものを食べたり、砂場に潜ったりしてきました(笑)。
そして帰国後、念のためにと受けたアレルギー検査で、「今どき、こんなにアレルギーがない子たちはいませんよ。そんな地域で育ったからこそ、病気をして熱を出したことや、菌にも触れて育ったことで、免疫がついて丈夫な体になったんですね!」と、医師に言われたのです。その後も現在まで、大きな病気をすることもなく逞しく育っています。
今、免疫学を学んでいますが、改めて、当時の暮らしが子供たちの一生の財産になったと感じています。3歳ぐらいまでの生育環境が人の腸内環境を左右すると言われており、「第二の脳」とも言われる腸に"よい菌"がいることが、一生の健康を左右するそうです。そして「なぜ赤ちゃんは菌が一番多い肛門と尿道の間の場所から生まれてくるのか?」最近の研究では、赤ちゃんは産道を通ってくる時に、母親の膣にいる菌が口から腸まで入り、この菌がかけがえのない菌として働いてくれるそうなのです。
小さい時から色々なものに触れたり口にいれたりして、菌にまみれることは人間が本来持つ自己防衛機能なんですね。子供達のそのチカラを信じて、「大丈夫!」と少し気楽に構えてみませんか?