コラム タイ野菜でべジフルライフ 第47回 バタフライピ―(アンチャン)

タイ野菜でべジフルライフ

第47回 バタフライピ―(アンチャン)

チョウマメ(蝶豆)
Butterfly pea
อัญขัน(アンチャン)

 好きな色で性格を判断したり、ラッキーカラーで運勢をみたりと、「色」は、空気のように何気ないのに、生き方にまでかかわってくるもののようです。私もつい黄色い財布を持ってみたり、朱色が運気を下げると占い師に言われて、洋服もアクセサリーも身につけられなくなってしまいました。元気を出したい時にはオレンジを身に着けるなど、心身にも影響を与えていると感じます。ピンクの中で暮らし始めた老女が若返ったという話しもあります。色を専門に学んで職業にしている方もおられるわけで、相当奥が深い世界のようです。色は、食とも深い関わりがあって、野菜ソムリエも色の基本を学びます。野菜ソムリエコミュニティBangkokでも色をテーマにしたセミナーを企画したのですが、奥が深すぎてペンディングになっています。一般的なことは語れるのですが、そこに「タイ」という要素が入ると、複雑になり過ぎるのです。周りにあふれる色や好まれている色も全然違うし、「青色は食欲をなくす」といった常識だと思っていたことがあてはまらないのです。普通に売られている青いご飯や豆腐をみてギョッとした方もおられるのではないでしょうか。

 

 今回は、その青色の元になっているアンチャンという花を紹介します。私の店「SALADee」でも潔いほどの真っ青なアンチャンジュースはとても人気です。お客様がそのジュースを飲んで食欲をなくしたら困るのですが、そういうわけでもないようなので安心しておすすめしています。

 

 ちなみに乾燥したアンチャンの花は、私の店「SALADee」でも販売しております。最近は、甘味を加えたパック入りのジュースもコンビニなどでよくみかけます。

 

 熱帯アジア原産のマメ科の植物です。和名も英名もどちらが先かはわかりませんが、大きな花が蝶に似ていることからつけられました。観賞用に白やオレンジもありますが、タイで利用されているのは青色の花です。未熟な豆も野菜として利用できるようですが、食べたことはありません。花は、布などの染料に利用されますが、毒性がないことから食材の加工にもよく使われています。青い団子やご飯もタイ人には「ヘルシーでおいしそ~!」となるようです。

 

 手軽なのは乾燥したものですが、生も同じように使えます。生は、茹でてナムプリックで食べたり、天ぷらにして食べることもできます。風味があまりないので、飲み物や料理にする時は、何かプラスする必要があります。花数個分でティーカップ1杯分の色が出ますので、砂糖や蜂蜜、マナオやレモンを絞って飲むといいでしょう。冷たくしてもあったかくしてもおいしいです。ゼリーにしてもきれいです。

 

 でも色だけを楽しむわけではなく、しっかり効能がありますので、身近な食材として活用いただきたい花です。タイでは、昔から毛髪によいとされ、乳児の頭や眉にアンチャンの液を塗りつけるのだそうです。知り合いにもおかげで子供の髪が黒いとか眉が立派だと語るお母さんたちがおります。そうした効能からシャンプーや石鹸にもなっていますが、体の中から補給してももちろんよく、頭皮や髪の毛の健康の他に、目にもよく疲れ目や視力回復に効果があるとされています。その他、肝臓機能の改善や血管浄化、美肌などさまざまな機能があります。青い色は、マナオなど酸味を加えると紫に変わりますので、お子さんと一緒に楽しんでもいいでしょうし、お土産にしたらきっと喜ばれると思います。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

関連記事...