コロナウィルス感染拡大について現状のまとめ

ブレズクリニックよりWOM読者の皆様へ、コロナウィルス感染拡大について、現状のまとめ
コロナウィルス感染症について
現在、私たちの健康と生活をおびやかし、また全世界でも最重要課題となっている新型コロナウィルスについて、その概要と私たち自身ができることについて考えてみたいと思います。
まず始めに、その発生とこれまでの経緯についておさらいをしてみます。新型コロナウィルスとは、昨年11月に中国の武漢市で発生が確認され、今年1月末ごろには同市を中心に中国でのアウトブレイクが見られるようになったウィルスで、このウィルスに感染した場合の疾患をWHOはCOVID-19と命名しています。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、その後も強力な感染力で中国から韓国、イラン、イタリア等に広がり、現在はNY州を中心にアメリカで最も猛威をふるっている感染症です。4月9日現在、全世界209の国と地域、罹患患者のトータルは151万人以上、死亡者は8万8千人以上に上り、いまだ患者数は増加の一途をたどりながら、収束のメドも立てられない状況が続いています。
我が国日本では、当初、水際作戦が功を奏していたかに見えましたが、やはり患者数は徐々に増加し、4月9日現在、累計4667人、死亡者94人となっており、4月7日にはついに緊急事態宣言が出される事態となりました。ただ宣言の内容は、あくまで「要請」「指示」であり、法的拘束力を持つものではないため、感染防止にどこまでの効力を発揮するのか疑問視する声も出ています。
コロナウィルス感染への心配もさることながら、私たち海外在住者にとっては各国の対策、入国の可否等も大きな関心事となっています。感染が確認された地域の多くで一時的なロックダウン(都市封鎖)、出入国禁止、外出禁止、医療や食料品以外の商業施設の営業停止などの対策が取られています。タイでも4月7日〜4月18日は民間機の飛行が禁止されており、日本でも「特段の事情」がない限り入国を拒否される国にタイは入っています。少し前までは制限付きではあるものの両国の行き来は認められていましたが、現在の状況は非常に厳しいものとなっています。
タイで引き続き滞在することになった私たち日本人にとっては、目まぐるしく変わるタイの政府発表を追うこと、いざという時の医療環境を把握しておくこと、何よりコロナに感染するリスクを減らすように自己防衛することが重要となっています。幸い在タイ日本大使館からCOVIT-19に関する情報が頻繁に更新されていますので、様々に飛び交う情報に惑わされず正確な情報を得て、冷静に対応してゆきたいものです。
さて、では具体的にどのような症状が出た場合、感染を疑うべきでしょうか? 主な症状としては、発熱と咳、倦怠感、呼吸困難等ですが、初期症状として、匂い・味がわからなくなる、下痢等消化器系の症状が出た、といった報告もなされています。いずれにしても、発見後間もないウィルスでありデータも少ないことから、上記以外にも様々な症状が発現する可能性があることは心に留めておいた方がいいかもしれません。
次に感染経路についてですが、以下の2つの経路が指摘されています。
● 飛沫感染(感染者のくしゃみや咳、つばなどからウイルスが放出され、その飛沫を他の人が口や鼻などから吸い込んで感染)
● 接触感染(感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの 物に触れ、他の人がそれを触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触って粘膜から感染)
これら2つの感染経路から感染防止には、小まめな手洗いと、自分が感染している可能性を含め、全員がマスクを着用することが、現在世界中で推奨されています。また帰宅後はすぐにシャワーを浴び、衣類をすべて取り替えるといったことも効果があるとされています。
空気清浄機や各種サプリメント等、効果が謳われているものもありますが、新型コロナウィルスは発見されたばかりで、性状特性が明らかになっていない部分も多くありますので、様々な情報に惑わされず、ビタミンC等、長年効果が確認されている方法で普段から自己免疫力を上げておくことを心がけるべきでしょう。
個人でできる予防とは別に、地域・国家レベルではまた違った対策が打たれることになります。このまま感染の拡大が続けば、タイでもバンコクロックダウン等の対策が取られることは十分にあり得るでしょう。その場合、社会的な繋がりが失われ心身ともにストレス度が上がるため、家庭内の不和等に発展しかねない危険をはらんでいます。家の中で過ごす術を身につけ、心身ともにストレスをなるべく少なくして、こんな時こそ同居家族への思いやりを忘れないでいたいものです。
そしてもし本当にCOVIT-19の感染が疑われる場合、受診のタイミングですが、
*咳、喉の痛みなどの症状がつらい状況なったら
*4日以上の熱が続くことが普段あまりないという場合、4日目くらいになってから
の受診が勧められています。(サミティヴェート病院Q&Aより)
咳や喉の痛みが出れば不安ではありますが、今、病院に駆け込むことは逆に感染の危険性も高く、数日は自宅で隔離をしつつ様子を見る時間も必要なのかもしれません。
検査について、現在バンコク内でCOVIT-19検査ができる病院は多数ありますが、通訳が常駐しているような国際病院では、サミティヴェート病院(スクンビット院)、バムルンラード病院、バンコク病院、ラマ9世病院等が言葉の面から安心できて良いでしょう。
検査費用は、およそ8000〜10000バーツくらいの価格帯に設定されています。言葉の心配がない方は、チュラロンコン病院等では若干安価に設定されているようですが、待ち時間が長い(感染リスクが高まる)等の面も考え合わせると、前述の4院あたりが日本人には利用しやすいのではないかと思われます。
最後に、未知のウィルスが瞬く間に全世界を覆い収束への道のりが見えない中、感染への恐れから普段は表面化しない差別的言動が出てきたり、外出禁止によってDVが増加したり、また経済的に困窮する人が増えていくことが予想されます。このような状況でこそ、私たち自身と国家のあり方が問われる時でもあります。コロナには罹らなかったけれど、別の意味での「死」の恐怖に怯えるような人が出ないよう、私たちは心を合わせてコロナウィルスと対峙してゆきたいものです。
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