コラム Dr.MANAのセンシュアルエイジング Vol.15 胃袋で男心をつかむナンセンス

Dr.MANAのセンシュアルエイジング

  「男心をつかむには、胃袋をつかめ!」これって、とんでもない時代錯誤ではありませんか。「男は外で仕事をする、女は家で子どもの世話と家事にいそしむ」という家庭像は、産めよ増やせよの大家族で、炊飯器も洗濯機も何もなかった、時代劇ドラマの話だったはずです。世の中は変わりました。家電製品は、ハツカネズミのようにちょこまかと走り回っていた、主婦の労働時間を圧倒的に解放しました。日本の人妻のすべてが、三食昼寝つきの有閑夫人になれたのです!

 

 けれど事実は違います。自動洗濯乾燥機は家族を遠慮なくキレイ好きにして晴雨を分かたず毎日洗濯の強制となり、過剰な消費は過剰な廃棄物を生んで分別と断捨離に心身を酷使します。加えて「子ども情操を養うのは母親の手作り弁当」と、メディアはキャラクター弁当のインスタグラムを特集し、頼みもしないのに役所は公民館で講習会を開催します。なんだ、女は一生ずっと自分以外の人間のためにコキ使われ、女どうしの小さなコップの中でかけっこ競走を続けなければいけないのでしょうか。

 

 『論語』に「女子と小人は養いがたし」という章句があります。女性と器量の狭い人物は近づければなれなれしく、遠ざければ恨みをいだいて扱いにくいものだ、と。同じく『大学』は「小人閑居すれば不善をなす」と言い、人間ができていない者をブラブラ暇にさせておくとロクなことはない、と説いています。

 

儒教は小人(男子の一部)と女性一般を同一視しています。儒教道徳は江戸時代だけでなく、近代となっても教育勅語に反復されて日本人の国民道徳となり、今なお生き続けています。国内の刑務所収容者の女性比率は7~8%です。かつて姦通罪という妻だけが罰せられる罪がありましたが、その夫である有徳の人物たちは妾や愛人と遊び放題だったのですから、悪のなすのはほとんど男性といっても嘘ではありません。

 

 ビジネス能力であれ、料理の能力であれ、性による差はありません。好き嫌い、向き不向もそうです。男性で料理が好きで得意な人はゴマンといます。

 

 そもそも、胃袋をつかんで男をゲットする時間があったら、ちょっと美人なるほうがカンタンで効果的です―これは職業的に自信があります。胃袋じゃなくて別のモノをつかまなくちゃ、です。

Dr. MANA(岩本 麻奈)

一般社団法人・日本コスメティック協会名誉理事長/ナチュラルハーモニークリニック顧問医師/エッセイスト/コスメプロデューサー/美容ジャーナリスト 
皮膚科専門医。20年に渡るフランス滞在ののち、東洋のパリ“プノンペン”に転居。女性を元気に美しくする講演活動を続けている。「パリのマダムに生涯恋愛現役の秘訣を学ぶ」「生涯男性現役」(ディスカヴァー トゥエンティワン)「フランスの教育・子育てから学ぶ 、人生に消しゴムを使わない生き方」(日本経済新聞出版社)など、美容やライフスタイルに関する著作多数。近著は「結婚という呪いから逃げられる生き方」(ワニブックス)

公式HP: dr-mana.com   公式ブログ: ameblo.jp/dr-mana

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