コラム ワールド通信 トレイルランニング

日本

「一生に一度は富士山に登りたい!」30歳の記念にと思い立ち、装備を揃え富士登山にチャレンジ。それがきっかけで山道を走る「トレイルランニング」に出会い、私の趣味らしい趣味になりつつあります。アウトドア派でなくても、山の魅力にハマってしまう人がたくさんいるようです。
山の思い出を思い起こすと、日本での遠足はもちろん、小学生の時に住んでいたスイスでは、天気が良いと自宅からフランス国境にあるジュラ山脈が見え、冬の週末には車でゲレンデでスキーを楽しみました。美しい山々や自然に囲まれた贅沢な生活でした。高校時代を過ごしたタイでは新入生のためのGet Awayで、国立公園でトレッキングをしました。ところが森はまさにジャングルで、一本丸太の橋や、ヒルが何匹も足を上ってくるという亜熱帯の洗礼を受け、大変なカルチャーショックだったのを覚えています。
さて、初めての富士登山でご来光を拝んでからは、東京からほど近い鎌倉や御岳山などでハイキングを楽しみながら、2012年のチャレンジとして「オックスファム・トレイルウォーカー・ジャパン」に参加。小田原から山中湖までの山道100kmを4人1チーム全員一緒に48時間以内に歩ききる、国際NGOオックスファムが主催するファンドレイジングのイベントです。
この100kmという距離の辛さは想像以上のものでした。永遠に続きそうなげんなり感と、次のチェックポイントまで頑張ってリタイヤしようか、とつきまとう心の迷い。しかし、チームメンバーとサポートをしてくれた仲間たちのさりげなくも大きな励ましにより、絶景の富士山と山中湖を拝してゴールにたどり着くことができた朝は、私の一生の思い出です。
こんな経緯があり今ではトレイルランニングチーム「トレイル鳥羽ちゃん」に所属、山に行く機会と仲間が一気に増えました。2012年秋、初めてのトレイルランで教えてもらったのは、自分の足下の1~2m先を見て、なるべく自然の力に任せること。そうして山を駆け下りる時のふわりとした感覚は、自分も自然の一部として在ることを感じさせてくれました。運動後にお腹が減り、ご飯を食べると元気が出て、という都会生活では忘れがちなことも思い出させてくれます。今後は日本各地の山々と、機会があれば海外の山も走ってみたい。ハードなスポーツなのできちんと身体も作り、楽しめるところまで楽しんでみたいと思います。

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