コラム タイ野菜でべジフルライフ 第64回 テーンラーン

タイ野菜でべジフルライフ

第64回 テーンラーン

タイキュウリ
Long cucumber
แตงร้าน (テーンラーン)

8月は、9日から1週間のお休みをいただきます。王妃のお誕生日の祝日もあり、日本人のお客様が少ないので店を休むのにちょうどいいのです。この時期の帰省は、タイより暑いし、ホテルも高いし、交通も混んでいるしで、あまり気乗りはしないのですが、お盆と年末年始は、1人暮らしの義母と一緒に過ごすことにしております。

 

お盆といえば、、、先日、ネットでかわいい野菜や果物のアートを見ました。バナナが犬、キウイがコアラ、イチゴが熊になっていたりして、すごくかわいいのです。私も何か創作してみたいとあれこれ考えてみましたが、あれっ、どこかで見たことがあるような?そういえば、お盆にキュウリで馬、ナスで牛を作りますよね、私のセンスだとあんな感じになってしまうのです。それにしても、昔の人も野菜でアートしてたんだ~!となんだかうれしくなりました。これは、精霊馬と呼びますが、お盆にご先祖様の霊が馬に乗って少しでも早くやって来て、たくさんのお供え物を担いでゆっくりと帰るようにと考えられたものだそうです。キュウリとナスが使われたのは、ちょうど季節の野菜だからでしょうか。

 

それにしてもキュウリもナスも日本とタイとでは見た目がずいぶん違うので、手を出せずにいる方も多いようです。ナスは以前に紹介しましたが、タイの青長ナスは焼きナスにするととても美味しいので試してくださいね。今回は、日本のに比べて太くてイボのないタイのキュウリ、テーンラーンを紹介します。タイ語では、小さい品種をテーンクワー、日本でよくみられるキュウリは、テーンクワー・イープン、今回紹介する大きい品種をテーンラーンと呼んでいます。

 

ウリ科のキュウリは、インドからヒマラヤ山麓が原産で、世界中で500もの品種があるそうです。タイのテーンラーンは、西洋の品種に似ていて、イボがなくて表面がツルツル、うっすら縞があり、ずんぐりしています。選ぶ時は、太さが均一なもの、皮にハリがあるものがよいでしょう。皮が厚くかたいので、通常は剥いて使います。種が気になる場合は、スプーンなどでとって利用してくさい。買って食べたことがないという方でも、タイのレストランでチャーハンを頼めば9割の確率でついてくるので、きっと食べているでしょう。少し大味ですが、生臭さや青臭さがなく、キュウリ独特のみずみずしさがあります。タイ料理店で小さな子がキュウリをボリボリと食べている姿をよくみかけるのですが、自然な水分がうれしいのでしょうか。

 

キュウリは、水分ばかりで栄養がないと言われますが、その水分が暑いタイでは大事とも言えます。利尿作用があるのでむくみが気になる方や、ナトリウムを排出させるカリウムを多く含んでいるので、高血圧の方におすすめです。さらにカロリーが低いので、ダイエットにも適しています。

 

日本人にとっては、キュウリというとサラダのイメージが強いでしょうし、タイでもヤムやナムプリックでも食べられていますが、テーンラーンは、炒めたり煮たりしても美味しく食べられます。私の好物は、鶏肉との炒め物です。太いので肉詰めにできますし、煮込むといい出汁がでますので、スープにおすすめです。キュウリは、暑い国の食べ物ですから、保存は、水分をふきとり、冷やし過ぎないように新聞紙に包み、ヘタを上にして立てるといいです。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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