コラム タイ野菜でべジフルライフ 第37回 アスパラガス(ノーマイファラン)

タイ野菜でべジフルライフ

第37回 アスパラガス(ノーマイファラン)

アスパラガス
Asparagus
หน่อไม้ฝร่ัง(ノーマイファラン)

おかげさまでこの記事も4年目に突入です。思えばこの連載は、今年で創立10周年を迎えた日本野菜ソムリエ協会認定の野菜ソムリエという資格がきっかけでした。今年1月末時点でジュニア野菜ソムリエは約4万人、野菜ソムリエは1,519人、シニア野菜ソムリエが81人に達しました。先日、東京で開催された記念パーティーに出席して多くの人と交流してきましたが、野菜・果物を通して夢を実現させようとキラキラしている人たちが多く刺激を受けました。資格をとって人生が変わったという人もたくさんいます。私もその1人かもしれません。タイに来るまで土に触ったことも包丁を持ったこともほとんどなかったというのに、タイ野菜の本を出版することになるなんて自分でも驚いています。最初は家族の健康のために資格をとったという人が多いのですが、どんどん世界が広がっていく魅力がこの資格にはあるようです。タイで受験して、本帰国後に野菜にかかわる仕事に就いた人もいます。タイでの受講については下記をご覧下さい。

 

さて、私がいかに野菜について無知であったかを思い出させるのがアスパラガスです。アスパラガス畑だと言われた場所には、パクチーラオ(ディル)のようなフワフワした葉の木が立っているだけで「???」と思ったものでした。アスパラガスってタケノコのように大きな株の根元から若芽がつくつく生えてくるものだったんですね。タイ語のノーマイファラン(西洋タケノコ)というネーミングに感心してしまいました。

 

地中海周辺が原産で、紀元前から栽培されていました。ギリシャ語で「新芽」を意味すると言われ、春を告げる野菜として親しまれています。グリーンとホワイトがありますが、品種の違いではなく栽培方法の違いで、ホワイトは土を盛って日に当てずに育てたものです。アスパラガスのタイでの歴史は浅く、以前はホテルやレストランなどで利用される程度でした。1980年代後半、日本への輸出向けに本格的な栽培が始まったことにより、農業省も動いて主要な農産物となりました。「茎がまっすぐで太くて立派なものがいい」とよく言われますが、タイではミニアスパラガスが主流です。下処理の手間がなくさっと料理でき、お弁当にも手ごろなサイズで、日本でも人気が出ています。

 

アスパラガスは収穫後も成長し続けるパワーがありそれだけ栄養価が高いと言えます。特にアスパラギン酸、ルチン、グルタチオン、葉酸などが含まれ、新陳代謝を活発にし抗酸化作用や解毒効果があります。高血圧や動脈硬化、貧血を予防し、疲労回復に効果があるなど健康野菜としても需要が伸びています。

 

保存は、立てることと乾燥させないことがポイントです。濡らしたキッチンペーパーやティッシュを容器に入れて、そこに立ててラップをして冷蔵庫に入れるのがベストです。「湯を沸かしてから畑に行け」と言われるように、新鮮なほどおいしいものですから、すぐに食べない場合は、かために茹でてラップに包んで冷凍しておくといいでしょう。

 

太いアスパラガスの根元の筋が気になる場合は、ピーラーなどで剥いてください。また、ピラピラした袴と呼ばれるのは葉ですから食べられますが、気になるようでしたら取り除いてください。これからタイは暑季となりますが、アスパラガスで春色料理を作って春を味わいつつ、夏を乗り切るパワーをつけてはいかがでしょう?

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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