コラム タイ野菜でべジフルライフ 第12回 広東菜(パック・クワントゥン)

タイ野菜でべジフルライフ

第12回 広東菜(パック・クワントゥン)

広東菜/菜心
Flowering cabbage
ผักกวางตุ้ง (パック・クワントゥン)

「も~すぐ春ですね~♪」と、春という言葉を聞くだけで浮かれてしまうのは、頭の中がお花見モードになってしまうからでしょうか。これからキョーフの猛暑を迎えるタイでお花見するのは無謀ですが、せめて食卓で春を感じてみたいものです。女の子がいる家庭では、ひな祭りもありますから春の演出は大事ですね。日本の食材がないからとあきらめる必要はありません。タイにも春を感じさせる野菜はたくさんあります。

 

そんな野菜の一つとして紹介したいのが、可憐な菜の花を咲かせる広東菜(パック・クワントゥン)です。菜の花は、アブラナ(菜花)の別名ですが、アブラナ科の黄色い花を咲かせる野菜の総称でもあります。タイでは他にパック・カナ(カイラン/中国ケール)があります。広東菜は、中国では菜心と呼ばれる野菜です。タイに移住した潮州人が「広東の菜」と潮州語で呼んでいたことから、「パック・クワントゥン(ผักกวางตุ้ง)」と呼ばれるようになりました。タイの日本人も「広東菜(カントンナ)」と呼んじゃいませんか?

 

スーパーに年中あるとても身近な野菜ですが、花つきのものは頻繁には出ませんので、みつけたらぜひゲットしてください。見た目も味も小松菜に似ていますが、小松菜と違って花が咲いてからもおいしくいただけます。タイの日本料理店では、小松菜料理として、あるいは説明なしにおひたしなどの小鉢料理に広東菜を出しているところがよくあります。アブラナ科のツケナ類はそもそもまぎらわしいものですが、気がつかずに食べている方も多いでしょう。

 

アブラナ科のルーツはヨーロッパですが、広東菜は中国で栽培が始まりました。タイでは、炒め物、スープや鍋、麺料理の具としてもよく利用されています。さっと火を通すだけで甘味が出ますので、加熱しすぎないように注意してください。茹でる時は、熱湯に塩をいれますが、その後の料理によっては、油をいれるとさらに短時間で色よく茹でられます。茎はダイコンの葉に似たシャキシャキしたさわやかさもあります。葉や花のいずれにも苦みがありますが、菜の花ほどのクセはありません。茎と葉の塩漬けか湯通しして塩もみしたものを細かく刻んで菜飯にしたり、花つきのものをちらし寿司の飾りにするとお花見弁当気分を味わえますね。もともと中国野菜ですから中華風の炒めものはもちろん、スープ、おひたし、和え物など和風料理にも幅広く利用できます。

 

保存は、湿らせたキッチンペーパーで全体を緩く巻いて、さらにラップで包んで、冷蔵庫にできれば立てて保存します。茹でて冷蔵・冷凍保存もできます。たくさん買って長期に保存する場合は、漬物にしておくといいでしょう。

 

緑黄色野菜の中でも栄養価が高い方で、多くがホウレンソウの数倍あります。ビタミンA効力のβカロテンとカルシウムが特に多く、ビタミンB1、B2、C、鉄、カリウム、葉酸、食物繊維なども豊富で、抗ガン作用、高血圧防止、糖尿病予防に効果があるうえ、骨や歯を丈夫にし、美肌にもよいとされています。さらに花の部分にはアルカロイドという機能成分が含まれていて、ストレス解消や疲労回復に効果があるとされています。

 

春を迎えるところではデトックス野菜として、猛暑を迎えるところでは夏バテ防止野菜としてパワーを発揮、タイでは幸い年中食べられますので、ぜひご家庭の常食野菜としてください。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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