コラム タイ野菜でべジフルライフ 第29回 ライム(マナオ)

タイ野菜でべジフルライフ

第29回 ライム(マナオ)

ライム
Lime
มะนาว(マナオ)

太陽がまぶしい季節には、子供の頃によく食べた蜂蜜漬けのレモンを思い出します。麦茶と共に運動部の必須アイテムでもありました。タイでは、レモンのかわりにマナオが出回っていますね。初めてマナオに出会った時って、感動しませんでしたか?適度な酸味や風味のよさはもちろん、安さと使いきりサイズが大きな魅力です。何年か前に猛暑でマナオが高騰した時には、ゾッとしました。思わずタラートに出かけて、2,000バーツ分買って背負って帰って来たことがあります。日本に本帰国となった人が恋しがるのもマナオのようです。どんなに上手にタイ料理を作っても、マナオがないのでちょっと違う、、、とういことになってしまうようです。瓶詰めや粉末の製品もありますが、やはり新鮮な生の絞り汁にかなうものではありません。

 

そういえば、知り合いの赤ちゃんがマナオを舐めて「デヘヘェ~」とうれしそうにしているのでビックリしました。その後、他の子にも試しましたが、酸っぱさにちょっと驚いたた後にやはり同じように「エヘへェ~」とうれしそうで、なんともかわいらしいのです。体が求めるのでしょうか?

 

「タイレモン」と呼ばれることもありますが、れっきとした「ライム」です。日本人が思い浮かべるライムは、レモンを一回り小さくしたタイプのものなのでピンとこないのではないでしょうか。ライムには、レモン型で種なしのタヒチライム、ペルシャライムと呼ばれるものと、球形で種の多いメキシカンライム、キーライムと呼ばれるものがあります。いろいろ地名がついていますが、原産は、インド周辺の熱帯地域で、タイに限らず、多くの熱帯の国々でとても身近なものです。

 

マナオには、クエン酸とビタミンCがたっぷり入っています。クエン酸は、疲労回復や抗菌・抗ウイルス効果が高いといわれます。ビタミンCは、体内で作ることができず、溜めておくこともできませんので、外からこまめに摂取しなくてはなりません。紫外線が多いと、活性酸素による酸化を抑えるためにビタミンCが消費されるので、暑い地域ではよりたくさん摂取する必要があります。その他、風邪、喫煙や飲酒、シミ、歯茎の出血、ストレス、コレステロールなどに効果があり、抗がん作用もあるといわれています。また、栄養効果だけではなく、腐敗防止という大きな役割もあります。タイ料理が甘くて辛くて酸っぱいのは、食べ物を長持ちさせるためでもあるのです。

 

保存は、乾燥すると変色して早く傷みますので、タッパーやビニル袋に水を少し入れると長持ちします。冷凍保存もでき、カットして凍らせればそのまま飲み物にいれられますし、料理に使う時は自然解凍させます。絞って製氷皿に入れて凍らせるのも便利です。古くなったマナオ汁は、薬品臭がして料理を台無しにすることがありますのでご注意を。

 

ドレッシングなどいつも酢を使っている料理にマナオを使うと、酢とは違ったさわやかさを味わえます。飲み水に入れるなど、毎日の生活に習慣づけるといいですね。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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