タイ野菜でべジフルライフ

第93回 ネギの花

葉ネギの花 / ネギ坊主
Shallot flower / Spring onion flower
ดอกหอม (ドークホーム)

 2016年もこのコラムにおつきあいいただきありがとうございます。タイに縁のあるものにとっては、ラマ9世のご崩御という忘れられない年になりました。
 
 私自身を振り返ってみますと、ちょうど1年前のこのコラムで2016年は魚料理に挑戦すると書いておりました。まだまだ人に教えられるほどではありませんが、魚料理は潔さが肝心で、そのコツがつかめてきてちょっと楽しくなっています。もう少し腕を磨いたら、健幸料理倶楽部のテーマに取り入れたいと思っています。
 
 さらに新年は、健幸料理倶楽部のテーマをもっと増やそうと思っています。準備中のショウガファミリーの他、タイにたくさんある食用花も面白そうです。タイ人は、一つの植物の根、葉、茎、果実、花、種を食べられるところは無駄なく上手に使いこなしています。中でも花は、野菜としてモリモリ食べています。日本にもあるのに、収穫や流通に手間がかかるのか、一般に食べられていないものもあります。例えばネギ坊主とも呼ばれるネギの花。農家や家庭菜園で楽しんでいる人が頭の部分だけを食べている程度です。どうやら日本では、トウがたって味が落ちるということで、ネギ坊主ができにくい品種が選ばれているようです。タイではそんなことはマイペンライ!? 実際に食べてみるととても美味しいですから、ぜひとも知って食べて欲しい食材です。
 
 
 葉ネギそのものはタイ語ではトンホームと呼んでいますが、正確な品種は不明です。この葉ネギが成長して花が咲く前の球状の蕾のような状態をネギ坊主と言います。見た目がニラの花にそっくりですが、ニラの花より太くて柔らかく、葉ネギそのものよりはニオイや辛味がおだやかです。一つのネギ坊主の中には無数の花が集まっていますが、咲いてしまうと食感が悪く、茎もかたくなるので咲く前を食します。ネギ坊主自体は、タマネギや赤タマネギでもできます。
 
 食材として一般的ではないので、効能などは不明ですが、葉ネギに準じるものと考えていいでしょう。硫化アリルという成分は、血流改善、肩こり、疲労回復に効果があるとされています。また、殺菌作用と鎮静効果がありますので、風邪など体調の悪い時にもおすすめです。
 
 調理法は、タイでは豚肉やエビと一緒に炒めるのが一般的ですが、おひたしや和え物、てんぷらにしてもよいでしょう。茎の下の方のかたさが気になるところはカットしてください。つぼみの部分だけを揚げたらタラの芽のようだと言う人もいました。
 
 日本の伝統的な橋や神社でよくタマネギのような飾りがありますね。擬宝珠(ぎぼし)と呼ばれるものですが、ネギ坊主が由来という説があります。武道館を大きなタマネギと歌った有名な曲がありますが、あれも擬宝珠で、正確には花のことだったのです。ネギの強烈なニオイは、邪気を払ったり、魔よけの効果があると信じられていたからだそうです。野菜の話も奥が深くて面白いですね。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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