コラム タイ野菜でべジフルライフ 第77回 ワサビノキ(マルン)

タイ野菜でべジフルライフ

第77回 ワサビノキ(マルン)

ワサビノキ/モリンガ
Moringa /Horse radish tree
มะรุม  (マルン)

 今年は…と、毎年言っているような気もしますが、日本は猛暑で大変だったようですね。テレビでは過去最高だの熱中症注意などと叫んでいて、聞いているだけで暑苦しい気がしました。異常気象が心配されていますが、温暖化で平均気温が上昇し北限が移動、日本の農産物地図が塗り替えられつつあります。これまで温州ミカンといえば愛媛県が有名でしたが、ミカンからオレンジへと転作する農家が増え、山形県や新潟県で試験栽培が行われています。山形と言えばサクランボですが、不作も多くなり、北海道での栽培が始まっています。新潟や東北の米どころでは、夏場の高気温で米の色や味が悪くなり、暑さに強い米に取り組んでいる九州米が注目されています。リンゴやブドウは味は落ちていないものの見た目が悪くなり、売上が心配されています。私たち消費者も見た目だけにこだわらないで野菜や果物を選ぶことが求められますね。反面、手が届かなかった熱帯の野菜や果物を栽培したり入手できるようにもなりました。ニガウリやパッションフルーツが身近なグリーンカーテンに利用されたり、関東で青パパイヤやオリーブ、レモンを栽培している野菜ソムリエ仲間もおります。
 
 今回紹介するのは、ワサビノキです。熱帯で広く栽培されている植物ですが、世界中で「薬箱の木」「生命の木」「母の親友」「奇跡の木」「緑のミルク」などと称賛されています。日本でも沖縄や九州で栽培されていますが、ひょっとしたら本州でも栽培できるかもしれませんね。さて、ワサビノキの何がミラクルなのでしょう? これを知ったら栽培してみたくなるかも???
 
 インド原産の植物で、根にワサビの風味があることから「ワサビノキ」と呼ばれています。未熟の莢は「ドラムスティック」とも呼ばれ、トカドヘチマがさらに細くなったような形です。タイではスープやカレーに入れて食され、特にゲーンソムというスープがよく合います。外側の皮を剥いて5㎝ほどにぶつ切りにして煮込んだり炒めたりしますが、筋があるためしごきながら食べる必要があります。莢だけでなく種、幹、枝、葉、花、根のすべてを利用できることや栽培のしやすさ、成長の早さ、そして何より植物の中で栄養価が最も高いことからミラクルツリーと言われています。効能をあげたらキリがないほどですが、90種以上の栄養価と300種の薬効を含んでおり、古くから民間医療にも利用されてきました。発芽玄米で注目のギャバ成分を葉に大量に含み、高い解毒作用があるクロロフィルも含んでいます。さらにポリフェノールは赤ワインの8倍、アミノ酸は米酢の97倍、鉄分はプルーンの82倍、ビタミンEは卵の96倍、カルシウムが牛乳の16倍などというデータがあります。
食用としてだけでなく、種の搾りかすに生水を飲料水に変えるほどの浄水作用があり、飲み水を確保できない地域の救世主になるということで研究が続けられています。
 
 最近は、市場だけでなくスーパーでも莢をカットしたものを見かけます。葉やその他の部分は滅多にみかけませんが、お茶やサプリメントとして加工されていますので、健康食品売り場などでチェックしてみてください。ただお茶やサプリは、流産の危険性があるので妊婦は気をつけてください。さらにビタミンKが多いので摂取制限のある人も要注意です。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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