コラム人生一度きり第19回 時間の経過の中で

人生一度きり

第19回 時間の経過の中で

 1年の上半期が終わった。時の経つのが年々早くなったと感じるようになったのはいつからだったろうか。
 
 バンコクで生活をし始めて3年半。思いつきから海外に生活の拠点を移す、それ自体が新しい試みだったが、環境に慣れた、という事だろうか。少しだけこの南国のゆったりペースに飽きてきた。ありきたりの生活、とは違うものの、「まだ何か出来る」と私の中でその先を求める心がザワつき始めた。
 
 日本でラジオDJを経験していた事から、こちらでもオファーがいただけたり、このコラムを書くようになったり、夫の個展を開けた事など、全て人のご縁が繋いでくれた幸運な事であり、良い経験をさせてもらってきた。が、どれもまだ道半ば。満足のいくことはなく、常に反省と自らの未熟さに辟易とする事も多い。それなのに、「飽き」という言葉を使うのに罪悪感を感じなくもないのだが…。
 
 歳をとったからか、もともと怠け者なのか、一線から退いたからか、毎日がのんびり過ぎていく。新しいチャレンジをしたり、新たな扉を開けるのはちょっと億劫だったり、怖くもある。意欲も体力も若い頃より落ちている上、失敗や評価も気になる。でも、これから先を思う時、当たり前の事だが、今が一番若いのだ。諸先輩方のパワフルにご自分の世界を広げている姿にも勇気をもらう。もっと軽やかに挑戦したらいい。そんな声が聞こえた気がした。
 
 今ひょんな事から進んでいるのは、自身2冊目となる本の出版と、洋服のデザインをしてみないか、という話だ。どちらも、偶然再会した友人を介し降って湧いた話だった。いつもそんな風にチャンスの扉は開く。正直嬉しかった。どちらも興味があり、実現させたいと思っている。何かにチャレンジする時、喜びと共に不安も押し寄せる。本当に出来るのだろうか? と。期限に間に合うのか、それらは売れるのか、など、まだ取り組んでもいないのに先走る思考に隣で見ている夫には呆れられている。
 
 その夫だが、私が何かをする時には必ずといっても良い程、サポートをしてくれている。私の思いつきを形にする様々な雑多な事など、私が気づかない事もあるかもしれない。私は夫のアート活動を支え、そのサポートをしたい、それが私の幸せだと心から思い、結婚(再婚)をした。今でもその気持ちは変わらない。だが十分にそれが出来ているとも思えず、足りないところばかりだ。実際、支えられているのは私の方ではないだろうか。
 
 残念な事に、今年は夫の個展の予定がない。だから、私の番ということか? 少し「飽き」を感じた日常生活に刺激をくれるチャンスは掴みたいと思う。常に考えている事は、「自分はどうしたいか?」という事だ。のんびりしたい、という背徳的にも思えるその願いを十分叶えてきた今、まだ今後、自分も輝きたいと思うのだ。さらには、私は夫を輝かせたい、と真剣に願っている。自分がやりたい事に、世のため、とか人のためにという意味づけをする方が耳障りが良いだろう。でも私は、未熟と言われようと、正直に、私自身と夫のために生きたい。彼の苦手を引き受け、私に出来る彼の望むサポートをしたい、と思うのだ。
 
 人生は続く、縁側でお茶を飲むのはまだ当分先のようだ。

by hiroko 「結婚・離婚アドバイザー」

来タイ4年目! ライター、ラジオDJ、普段着物愛好家。着物をもっと身近なものにをモットーに、バンコクFM放送局J-channel、毎週月曜日Morning Kissには着物やゆかたで出演中。リクエスト、メッセージなど大歓迎です

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