コラム 30歳からの群れない媚びない生き方 第3回 30歳からの群れない媚びない 生き方

30歳からの、群れない、媚びない生き方

 唐突ですが、今、ミャンマーに来ています。保健医療、特に妊産婦や新生児の医療に関する調査をしているのですが、ミャンマーの医療事情というのは、率直に言ってよくないです。妊産婦死亡率(=妊産婦10万人中の死亡数)をとってみても、日本は5人、タイは20人であるのに対し、ミャンマーは178人(出典:WHO Maternal Mortality Country Profile)。
 理由は色々あるのですが、まず医師や看護師、助産師といった医療従事者の数が圧倒的に少ないことが挙げられます。例えば、昨日訪れた人口24万人の町。この町の国立病院の医師は、院長先生一人だけ。出産から下痢から肺炎から外傷の治療を一人で担うだけでなく、この町の医療行政を司る長としての役目も果たさなくてはなりません。自宅は病院の敷地内で徒歩30秒、24時間365日On Duty。病院にしても、治療や処置が廊下で行われていたり、ベッドは板敷き、例えはよくないですが、まるで野戦病院のようなのです。と滔々と書いてしまいましたが、私がお伝えしたいのは、ミャンマーの医療事情がいかに劣悪か、いうことではありません。
 私たちは、医療従事者へのアプローチを通じてミャンマーの保健医療サービスを改善しようと試みているわけですが、調査を進めていくうちに、気づいたことがあるのです。それは、「医療従事者へのアプローチは必要だけれど十分ではない」ということ。患者さんに目を向けてみると、道路状況が悪くて病院へ行くのが大変、病院に行く交通費が払えない、妊産婦さんが入院しようものなら働き手が減り家事をやる人がいなくなる etc… もはや「保健医療」の問題ではなく、「インフラ」「貧困」「ジェンダー」といった課題を乗り越え、さらには人々のマインドセットと行動を変容しなくては、問題は解決しないのです。
 話がますます大きくなりましたが、これを個人に置き換えて考えてみましょう。もしも今、あなたが何かしらの問題を抱えているとしたら、その問題に焦点を当てるのではなく、ちょっと引いて、その問題を俯瞰してみてほしいのです。もしかしたら、問題の本質は、あなた自身が思っているところとは別のところにあるかもしれないから。
 話は戻って、多忙を極める院長先生に、「医者の不養生」という日本の諺を引き合いに「ご自愛ください」と伝えたところ、「ミャンマーにも似たような言い伝えがあるよ。でも、やるしかない」そう言って、また新しい命の誕生の現場に向かわれました。「ないもの」ではなく「あるもの」に目を向ける。今いる場所で力を尽くす。改めてその大切さを認識し、勇気をもらったように思います。命あることに感謝。

サノユキコ

慶應義塾大学卒業、ハーバード大学博士課程修了(国際開発専攻)。日本という枠にとらわれず、自分の志向、感性、価値観、ライフステージに合わせて “ほんとうに贅沢な” ライフスタイルを選ぶ Globaluxe(グローバリュクス)を実践中!

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