コラム人生一度きり第07回 バンコクでゆかた

人生一度きり

第07回 バンコクでゆかた

 7月、日本に居たら夏祭りや花火大会、ビアガーデンへと、おしゃれに浴衣を着て出かけたくなる季節がやって来た。ここバンコクは常夏、いつでも浴衣が似合う気候。にもかかわらず浴衣姿をあまり見かけない…。それでも私が着て出かけるとよく話しかけられる。本当は着たいのだと… 見た目が涼しげで日本を思い出して嬉しくなると、そんな好意的な意見が多い。だが実は私も以前は浴衣で出歩くことに躊躇していた。何故なら目立つことが気恥ずかしく、それを自分に許していなかったからだ。
 
 さらには、浴衣はその昔、湯帷子(ゆかたびら)と言って湯上りに着るバスローブ的なものであった、その後は家の中だけで着る物、もしくはご近所まで、という位置づけとなっていった。現代で言うところのスウェットやジャージあたりになるのだろうか。そういう背景から浴衣で出歩くのはハシタナイと思う人がいるのも知っていた。
 
 しかし時代の流れの中で、現代の浴衣は、ワンピース感覚で着られており、色柄やデザインも「お出かけ」を前提とした華やかな物になっている。日本全国どこの商業施設も、この時期、浴衣割引や特典をつけ、手軽に浴衣を着て出かけることを推奨している。呉服業界が廃れていく中、着物よりも手軽で扱いやすい浴衣は、最後の砦として、一筋の希望の光なのだ。浴衣はもはや、「夏のお出かけ着」として市民権を得たと言っても過言ではないだろう。
 
 とはいえ、どうしても受け入れられない、と未だに浴衣に偏見を持っている方もいるであろう。が、良いではないか?! 人の服装にケチをつけることの方が、どれだけはしたない事かは、言わずもがなであろう。受け入れられない人は着なければいいのだし、他人が普段着として着るのなら何も問題はないのである。
 
 大事なのは、品格を損なわず、涼しげかどうか? この一点に限るのではないだろうか。どんなに高価な着物でも汗ダクダクで着ていたら、その良さは半減してしまうだろう。装う、というのは自分の為と同時に、その場を共有する人への気遣いや思いが現れるものだ。堅苦しくするのも、気楽にするのも、敬意を表すのにも、「何を纏う」のかは大事だと思う。ハレの日のルールは守りつつ、普段は思い切り好きなように自己表現をしたら良い。
 
 元来日本人には着物が似合う。浴衣も然り。私のように、浴衣から入って着物に移行していけたら、呉服業界も時代錯誤なおばさまも、結果、喜んでくれるのではなかろうか? 浴衣を夏着物のように着こなす提案も其処此処で見られる昨今。常夏のバンコクで、浴衣を楽しんでみようではないか?
 
 浴衣や着物に限らず、人の目を気にして着たい物も着れず、人に言われたことを気にしすぎて、何かを我慢していないだろうか? この夏は(常夏だけど)勇気を出してチャレンジしてみませんか?
 
 人生は続いていく、共に輝こう。

by hiroko 「結婚・離婚アドバイザー」

来タイ4年目! ライター、ラジオDJ、普段着物愛好家。着物をもっと身近なものにをモットーに、バンコクFM放送局J-channel、毎週月曜日Morning Kissには着物やゆかたで出演中。リクエスト、メッセージなど大歓迎です

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